平凡軍人の非凡な才能。2
平凡軍人の非凡な才能。の続きです。
元帥執務室から出た瞬間、大将に怒鳴られた。
「どういうことだ、説明しろ!
なんで貴様と元帥が知り合いなんだ!」
「……そう言われましても……」
説明して欲しいのはこっちだ。
世界最強の軍の、トップがあんなのだと思わなかった。
最悪、としか言いようがない。
「ずっと昔、近所に住んでいたってだけの話ですよ。
まさか元帥になってたとは」
「む……そうか。
世界は狭いものだな」
まったくだ。
たいして急ぐ用事もないのか、ゆっくりと歩く大将の、一歩後ろに続く。
結構激しい所だと聞いていたのだが、意外と平穏な時もあるらしい。
……だからと言って、帰りたい気持ちは変わらないけれど。
そして
平穏な時というのは、簡単に終わってしまうものだった。
「大将!
銃を持ったテロリストどもが、廃ビルに立て籠もっていると通報が!」
ーーほらな。
第一会議室。
「お前もついてないな。
赴任早々立て籠もり事件とは」
「まぁ……慣れてますんで」
早く集合した俺たちは、第一会議室で待機している。
いまここにいるのは
大将グロック率いる、第二部隊の皆さんと
大将ノワール率いる、第三部隊の皆さんだけだ。
第一部隊、第四部隊の人はまだ来ていない。
世界最強が、聞いて呆れるな。
集合遅すぎだろう。
そんなこんなで全員揃ったのは
俺たちがきてから20分が過ぎたころだった。
「で、なんでそんな奴がここにいるんですか?大将ノワール」
開口一番、第一部隊大将レリック・エドラインは、俺を指差して言う。
確か、軍部学校で同期だった奴だ。
なるほど、ならば疑問に思って当然だろう。
成績、ひどかったからなぁ……俺。
「狙撃成績ランクC、近接はE……
体術なんて、Gランクだった奴が
どうして?」
おいコラ。
さらっと人の成績暴露してんじゃねぇ。
あと、笑堪えてる奴。
『ありえねぇ』とか聞こえてんだよ。
だったら早く異動命令出してくれって。
喜んで出てくから。
「元帥直々の指名だ。
『有能な人材は、手元においておきたい』……だ、そうだが?」
「有能……ねぇ」
軽蔑の念を露わにしながら
大将レリックは俺を見て嗤う。
なんか腹立つな。
集合に20分かかる奴に言われたくないんだけど。
まぁ、騒ぎ起こすぐらいなら
おとなしくしていよう。
俺が何かする必要は無、
「げ、元帥からのご命令で
『今回の指揮系統はトア・フィニス中佐相当官に一任せよ』と……!」
は?
はぁぁぁぁぁ!?
「なっ……!?こいつが指揮官だと!?」
大将レリックの表情から余裕が消え
会議室内が疑問に満ちる。
俺は
いつか絶対あの元帥暗殺してやる。
そう、心に決めた。
次回完結(予定)!