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第四章 戦乱の急展開 ―1600年 関ヶ原の戦い―

物語の都合上、実際の出来事や文献等に載っていることと(かなり)異なります。

あらかじめご了承ください。


〈Narrator Part〉

 またまた登場語り手です。

 そういえばまだ名前を言ってなかったですね。でも、私が誰だか気づいた人もいるんじゃないでしょうか? えっ、わからない? そんなはずないでしょう。この物語にかなりはじめの方から出てますよ。

……まぁいいでしょう。私が誰か、クイズっていうことで。

ところでお忘れではないでしょうね? 次の時代は1600年。もうおわかりでしょう。そう、かの有名な関ヶ原の戦いがあった年ですよ。まぁもう六百年近く前ですけどね。

簡単にいえば、豊臣秀吉の死後、徳川家康率いる東軍と石田三成率いる西軍が関ヶ原で戦い、結果東軍が勝ち、その後の江戸時代へとつながっていくのです。

今までも元寇、応仁の乱と戦争がありましたが、見てきたのは短い期間だけでした。しかし、実際はどちらも長期間にわたる戦いです。ですが、この関ヶ原の戦い、たった一日だけなんです。正確には1600年10月21日。この一日で決着がつきました。

えっ、いちいち私が話をせずに物語中で登場人物が話せばいいって? そんなひどいこと言わないでくださいよ。こっちだって仕事なんですから。

こほん。さて、そろそろ本編を始めましょう。

謎の女の目的とは?

さぁ、続きをどうぞ。




 出てきた先は松尾山だった。松尾山とは戦場にある山で、ある有名な武将がいたところだ。その武将の名は、

「なんてこった、小早川秀秋の目の前かよ……」

「貴様、殿に向かって無礼だぞ!」

「そりゃ失礼しました」

 三人はご丁寧に小早川秀秋の目の前に出てきてしまったのだ。もちろん不審に思った周りの武士たちに捕まり、そして今、結衣と希衣は別の場所で監禁されていて、優斗だけ連れて来られた。

「まったく。変な女が来たと思ったら今度は子供三人かよ」

「戦の真っ只中だっていうのに一体なんなんだ」

「で、俺をどうするってんだ」

「小僧、一体何しにここに来た?」

「そうだな……、彼女と妹と森を歩いていたら巨大な鳥にさらわれて空から落とされたってとこかな」

「ほう……。首を飛ばされたいらしいな」

「スイマセン」

「まあ、子供だから許してやるか。で、本当のところはなんだ?」

「話すと多分理解してもらえないと思うんで簡単に言うと、違う時代からきました」

「…………」

「スイマセン」

「いやいや、お前や連れの二人を見る限りある意味ではそれがいちばん納得いくかもしれん」

「確かに。見たことないものも持っていたしな」

「理解してくれてどうも。それじゃ、俺たちは女を追わなきゃいけないんで開放してくれない?」

「そうだな。でもそのまま開放するのもあれだし、一つ頼まれてくれないか?」

「はい?」

「うちの殿がずっと日和見を続けていて困っているんだ。一応、石田三成側についているんだが、徳川家康の方から裏切るよう手紙が来ているんだ。それで悩んでしまって未だに日和見を続けているんだ。俺たちは徳川の方につくべきだっていってるんだが……」

「なるほど。それで、俺に何をしろと?」

「この手紙を徳川本陣に届けて欲しいんだ。そしたら向こうから動いてくれるはずだから」

「オッケー。じゃあ、二人も連れて行きたいんで開放してくれないか?」

「しかし……。まぁそうだな、わかった。その代わりうちの者を一人つけるぞ」

「脇川直綱だ。よろしく」

「よろしくお願いします」

「それじゃあまず、二人のところにいこうか」


結衣と希衣のもとに行くと、二人は優斗の方に駆けてきてくっついてきた。

「ユウトぉ〜、よかったぁ〜」

「ちょっと結衣、くっつくな!」

「だってこんなところで何かあったら首飛ばされちゃうじゃん!」

「すごい偏見な気がしなくもないが、さっき言われたばかりでそんな気がしない」

「おにーちゃん、ぶじ?」

「ああ、無事だよ。……いいから二人とも離れてくれないか?」

「はは。優斗、ラブラブだなぁ」

 結衣と希衣にくっつかれてる優斗を見て、脇川が茶化してきた。

「もう、脇川さんまで……」


 戦場を突っきらなくて済むよう、森の中を通っていく一行。すると、動物とは思えない生き物がいた。

「この時代にも魔物がいたのか!」

「なんだこの生き物は!?」

「説明はあとです! 早く倒しましょう!」

 優斗は希衣を守るために援護にまわり、結衣と脇川がそれぞれ鞭と刀で魔物と交戦した。

 魔物は大したことなく、すぐに済んだ。

「ふぅ、いっちょあがり!」

「で、一体なんなんだ?」

「詳しくは俺たちもわからないんですが、俺たちの時代にいる奴らが巻き込まれたか、魔物の発生原因が何らかの方法で発生したか……」

「よくわからないが有害なものには違いないな。この先もいるかもしれないから気をつけていこう」

 脇川の予測通り、徳川本陣にたどり着くまで何体か魔物がいたが、どれも未来にもいる雑魚ばかりだった。特に問題なく一行は徳川本陣に着いた。

 家臣らしき人に脇川が手紙を渡す。その人は、家康に伝えてくるからここで待ってろと言って、奥へと行った。

 少しして、戻ってきた家臣が告げた。

「家康殿は、信用ならないので松尾山の近くで戦っている藤堂・京極隊を危なくないところまで誘導するのに成功したら手紙のとおりにするとおっしゃってます。そこで、もしやるのであれば誰か一人を人質としてここに残して、代わりに私が着いていきます。無事、誘導できたら私が特別なのろしをあげます。どうしますか?」

「やりましょう。あそこは特に苦戦していると聞く。そこで勝てれば一気に東軍に勝機が向くはずだ。人質は私がなります。優斗殿お願いします」

「いいんですか?」

「ええ、あなたたち誰か一人が欠けた方が大変でしょうし」

「わかりました。結衣もいいよな?」

「もっちろん! これで歴史がかわら……何でもないわ」

「よし。では行きましょう。私は片白将盛だ。では、脇川殿は奥へ」

「じゃあ、頑張ってくれ」

 脇川の代わりに片白が加わった一行は戦場へと進んでいった。

「ところでそっちの気が強そうな娘さんはいいとして、こっちの幼い娘はいいのか?」

「あ~、彼女はたぶん大丈夫です。ちょっと特別なんですよ。もしものときは俺が守りますから」

「そうか……?」

片白は釈然としないようだったが、とりあえず信じてくれたようだ。

そうこうしているうちに大勢の人が戦っているのが見えた。

「あれが、藤堂殿と京極殿の隊だ。今から二手に分かれてそれぞれを誘導する。おまえたちは藤堂殿の方に行ってくれ」

「わかりました」

「あと、これをもってけ」

 そう言って片白が渡したのは文字が書かれた紙だった。

「これには家康殿が直々に書かれた手紙だ。これを見せれば信じてくれるだろう」

「ありがとうございます」

「では、誘導し終わったら京極殿のところまで来てくれ。そしたら目印ののろしをあげる」

「よし、それじゃあ行きますか」

 優斗たちは片白と別れ、藤堂のもとに向かった。

戦いの真っ最中ということもあり、突っ切ると危ないので少し遠回りしていった。少し歩くと他とは違う兜をかぶった人がいた。

「あれが藤堂ね。とっとと済ませちゃいましょ」

 三人が近づいていくと藤堂は怪訝そうな顔をして、見てきた。

「家康殿の使いの者です。この手紙を渡しに来ました」

「お前らみたいな子供が使い? 戦中だってのになんのつもりだ」

「とりあえず読んでください。家康殿からである証拠があるはずです」

「ふむ、本当だ。なになに…………、わかった。家康殿からの指示なら従おう。皆の者、少し移動するぞ!」

 なんとか信じてくれ、藤堂隊はうまく動いてくれた。京極隊の方もすでに動いていて、敵である大谷隊を松尾山から攻撃しやすくなった。

 三人は片白のもとに向かい、結果を報告した。

「ご苦労だった。ではのろしをあげるぞ」

 家康の方から見えるようにして、片白はのろしをあげた。

 そののろしに気付いたのか、家康たちの方に動きがあった。遠くから見ているので細かくはわからないが、何人かが松尾山の方に向かって銃を撃ったようだ。


 のろしがあがった直後の松尾山。

「脇川たち、大丈夫かな?」

 友人を心配する家臣をよそに、小早川はいまだにどうするか悩んでいた。実際、他にも日和見している武将はいる。しかし、気の弱い小早川はこのまま何もしなかったらどっちが勝っても何をされるかわかったものじゃないとオロオロしているのだ。

 すると、近くの木が突然撃たれた。

「ひっ」

「小早川殿、家康殿がこっちを撃っています!」

「ひぇ~、家康殿がお怒りだ! ええい、決めたぞ。私たちは家康殿の味方をする! 皆の者、一番近くにいる大谷隊を討つぞ!」

「はっ!」

 ようやく決心した小早川は家臣を連れて、一気に松尾山を駆け降りた。

「小早川め、やはり裏切ったか!」

 下で待ち構えていた大谷隊は裏切りを予想していて、余裕で迎え撃つ。

「ひぃ! 怖い……」

「小早川殿、しっかりしてください!」

大谷隊の力は圧倒的で小早川隊は松尾山の麓まで押し戻される。

が、その時、日和見していた他の武将たちが次々に寝返り、大谷隊を攻撃し始めた。

「なに!? 他の武将まで……」

 さすがの大谷隊もこれだけ大人数を相手するのは無理だった。

 さっきまでの状態は逆転。東軍が一気に攻めていった。


「よし、うまくいったな」

「ふぅ、のちに名前が歴史書に載るような人たちとたくさんかかわって疲れたわ……」

「確かにね。希衣は大丈夫か?」

「うん、へーき。なんかたのしかったし」

「それでは、私たちは戻りましょう」

 一行は家康軍の方に戻っていった。

 さっきまで家康軍がいた所に戻ってみると人が少なくなっていた。どうやら、家康は自ら進軍していったようだ。

「では、脇川殿をお返ししましょう」

「おぉ、優斗殿。やってくれたのですな!」

「ええ。結構大変でしたけどね」

「ふむ。しかし私も一緒に戦いたかったですな。まぁいいでしょう」

 はっはっは、と笑う脇川。だいぶご機嫌のようだ。

「では、戻りましょうか?」

「ちょっといいですか。だれかあまり見ないような身なりの女を見た人はいませんか?」

 優斗はもしかしたら誰かあの女を見た人がいないかと思い、訊いてみた。

 すると、家康の家臣の一人がやってきた。

「あぁ、それだったら少し前に石田光成の方に向かっていくのを見ましたよ」

「ありがとうございます。すいません、脇川さん。俺たちちょっとその女に用がありまして。ここでお別れさせてもらいます」

「そうか、残念だ。また、どこかで会えることを祈ってるよ」

「はい。では、脇川さん、片白さんお元気で」

「さようなら~」

「ああ、おまえたちも元気でな」

 優斗たちは脇川たちと別れ、女を追うために石田軍の方に向かっていった。


 それから数時間後。さっきので東軍の勝利はほぼ確定し、すでに戦いも沈静しつつある。

「はぁ~遠い。まだつかないの?」

「そうですね。もう少しだと思うのですが……」

 久々に出てこられたノウェムは早速地図として使われている。希衣は疲れたのか優斗におぶられ、すやすやと寝息をたてている。

「あたしも小さければ優斗に抱っこされて……」

「おい、結衣。大丈夫か?」

「大丈夫ぅ〜……。あ~、あたしも抱かれたい……」

 結衣はフラフラしながらよくわからないことをつぶやいている。

 かなりだらけた空気の中で、突如警報音が鳴り始めた。

「何だ!?」

「みなさん、気を付けてください! ほぼ真上に歪みが……!」

 はっ、と上を見上げるとそこには時空の歪みが表れていた。

「なになに? どうしたの?」

 結衣は状況が飲み込めていないようだ。

「こっちが出口側か?」

「そうです。つながっている年は……、えっ、2179年!?」

 ノウェムが叫んだとほぼ同時に、空から二つの影が落ちてきた。

「わっ!」

 即座に戦闘態勢に入る二人。しかし、よく見るとそれは人だった。

「笹野さん!?」

「それに……美咲!?」

「や、やあ」

「いった〜い! お父さんなにやってんのよ!」

 落ちてきた二つの影は本条博士の助手、笹野と、優斗の妹、美咲だった。

「ようやくHT-001の位置を調べる機械が完成してね。やっと会いに来れたってこと。美咲ちゃんは無理やり着いてきたんだけどね」

「なによ〜。実の兄を向かいに行って何が悪いの!?」

「まあまあ。それで、帰れるんですか?」

「あ〜それなんだが、どうも向こうでなにかあったみたいなんだよね。ちょっとあとからこんな紙が」

「なになに。『タイムマシンがトラブった。ちゃんと着くには着くだろうが、帰るのはしばらく無理かもしれん。とりあえず二人と一緒に待っててくれ。本城より』……とっさにこんなものを出せるってことは事前に準備してたな」

「ということはまだ帰れないのね……」

 二人はため息をついた。それぞれの理由はちょっと違うが。

「それじゃあしばらくの間、君たちが今までどうしてきたか話してくれないか?その女の子のことも」

「聞きたい聞きたい!兄ちゃんと結衣姉ちゃんがどんだけラブラブしてたか」

「おい」

 二人は笹野と美咲に今までの経緯を話した。1500年も前に放り出されたこと。HT-001を見つけ結衣がノウェムと名付けたこと。魔物が過去にも現れたこと。歴史に名を残すような有名人と関わったこと。式典の時にタイムマシンをいじった犯人である女を追っていること。追いながら様々な時代を旅したこと。そして、その女が連れていた謎の女の子、希衣のこと。

 美咲は楽しがっていたが、笹野は深刻な顔をして聞いていた。

 それもそのはず、女が時空の歪みを保持状態にしていることと、魔物が過去にも発生しているという深刻な問題が二つもあるから。

そんな問題を残したままとはいえ、今まで大変な思いをしてきただろうから優斗と結衣を責めるわけにはいかない。しかし、このままだと歴史が変わってしまうかもしれない。

「とりあえず、その女を追おう。博士なら多少移動しても見つけてくれるだろ」

「そうですね。それじゃあ行きましょうか」

「おっと、わすれるところだった。はい優斗くん、博士から贈り物だ」

 そう言って笹野が優斗に渡したのは、例の銃だった。

「ふう、やっとまともな武器が手に入った。でも、アマスマはないんだ」

「あっ、私も気づかなかった」

「まあいいです。結衣の予備借りてますし、あの女が置いていったライフルがありますから」

「ねぇ、おにーちゃん。このふたりだれ?」

「おっと、そっちの話だけ聞いてこっちから挨拶してなかったね。私は笹野。優斗くんのお父さんの助手だ」

「私は美咲。優斗兄ちゃんの妹だよ! ていうかこの子、兄ちゃんのこと『おにーちゃん』って言ってやがったな」

「みさき〜。裏の顔が出てるぞ〜」

「はっ、あたしは今何を!?」

「ははは、美咲ちゃん、相変わらずね」

「う〜んと、ささのとみさきね。よろしく!」

「野郎、呼び捨てとはいい度胸し、ふがっ」

 また裏の顔がでそうになった美咲の口を優斗が塞ぐ。

「さ、そろそろ女を追わないと」

 一気に五人に増えた一行は、女を追って石田軍の方に向かう。


 日はだいぶ傾き、もうすぐ夜が訪れようとしている。

 既に戦いは終わり、今は逃げた石田三成を追って何人かの兵士が創作しているだけだった。

「ノウェム、この辺でいいのか?」

「はい。この辺に石田三成はいたはずです」

「既に女はいないようだね」

「おにーちゃん、あそこにおばちゃんがいるよ?」

 希衣が指差した方を見ると、暗闇に佇む女がいた。

「笹野さん、あの女です!」

「あいつか……!」

「あ、おばちゃん、またあった〜」

 希衣が女の方に行こうとするのを優斗が止める。

「あらあら優斗に結衣。それに希衣ちゃんもちゃんといるわね。さらに笹野くんも。……その子は誰かしら?」

「おばさんこそ誰?」

「ふふふ、おばさんね……。このガキが」

 何か女同士で戦っている。

「まさか、あなたが犯人だったとはね」

「あら、笹野くんまで冷たい態度とは。私もだいぶ嫌われたものね」

 女はやれやれといった感じで女は言う。

「笹野さん、あの女を知ってるんですか?」

「ああ、彼女は……」

 笹野が女の名前を言おうとしたその時、

「ストーップ。言ったら優斗、悲しむかもよ〜」

「くっ……」

 女に言われてためらう笹野。しかし、優斗は、

「俺のことはいいですから、言ってください!」

その言葉を聞き、笹野は決心がついたようだ。

「……そうか、わかった。彼女は、君のお母さんの双子の妹だ」

「!?」

「優斗のお母さんの双子の妹……?」

「ほぇ?」

「えっ、要するにあたしにも当てはまるってこと!?」

 反応は様々だった。優斗は言葉を失い、結衣は確認するように復唱、希衣は意味がわからないようで、美咲は混乱している。

「そ、私は優斗と美咲の母親、本城優子ほんじょう ゆうこの双子の妹、日浦勇子ひうら いさこよ。そして目的は、隠蔽された十五年前の事故で行方不明になった姉の捜索。そして、姉を連れ帰って事件隠蔽を世間に暴く。ちなみにこのHT-000は事前に研究所から盗んだもの。歪みを保持しているのは前の時代に戻りやすくするため。魔物のことは知らないわ。それじゃ」

一気にまくし立てるように喋った勇子は、言い終えた直後に出てきた歪みのなかに入っていってしまった。

「待て! ……くそ、行かれたか……」

「…………」

 優斗はまだ黙っている。頭の中で整理ができていないようだ。

「え〜と、要するに勇子さんを捕まえないと研究所がやばいってことですよね?」

「それもあるが、一緒に隠蔽することを決めた政府もやばいだろうね。さて、どうするかな。HT-000は探知できないし、魔物の手がかりもなし。とりあえず歪みの保持はしてくれたみたいだけど、博士を待って一度戻るべきか……」

「……いきます」

 笹野が考えていると、横から小さな声で誰かが言った。

「へっ?」

「行きます。あの女を追います。研究所が潰されるのもそうですが、お母さんに会いたいです。きっと、あの女を追っていけば会えるはず。行きましょう、次の時代に」

「あ、ああ……」

 突然の決意表明に笹野は面食らったようだ。

「うん、行こう優斗。お母さんに会いに」

「あたしもお母さんに会いたい!」

「きいもあってみたいな」

「よし、行くぞ!」

 決意を新たに、一行は次の……

「ところでノウェム、次はどこなの?」

「次は……秘密です」

「えー、教えてよ」

「たまにはいいじゃないですか。まあ、関ヶ原の戦いのあとですからなんとなくわかるかもしれませんが」

「えっ? 次って何時代?」

「おい、話を折った上にバカさらしてるんじゃないよ」

「うぇ〜ん。優斗がいじめる」

「結衣お姉ちゃん。さすがに誰でもわかると思うよ」

「美咲ちゃんまで……」

「きい、わかんない」

「そうよね希衣ちゃん。わかんないよね」

「お前は幼稚園児並か……」

 というわけで、決意を新たに、一行は次の時代に向かった……。




「あ〜あ、バレちゃった」

 次の時代、商店街のようにお店がたくさん並んでいる街を歩きながら女――日浦勇子――はつぶやく。

「姉さんどこにいるのかなぁ。なにか手がかりがあればいいんだけど」

 実は未だになんの手がかりも見つからず、ただ闇雲に探しているだけだった。もしかしたら既に過ぎているかもしれないし、同じ時代にいたかもしれない。

「全部喋っちゃったからきっと優斗たちは私を止めに来るだろうなぁ。しかたない、しばらく保持させるのはやめるか。この時代は長いからな〜。きっと見つからないだろ」

 勇子は手がかりを探して、お店の間をふらふらと歩いていく。

「あら、この紫色の指輪は……」

どうも、kumihaです。


今回は関ヶ原の戦いっていうことで、メインに持ってきたのは小早川。

彼の裏切りは有名ですよね~。

前半は主人公たちがどう絡んでその裏切りが起こったかを焦点に書いていきました。

後半は全体に絡むお話。新しい仲間、謎の女の正体と目的をここで出そうと思いこのような話になりました。


さて、次回はちょっと大筋から離れて短編みたいになります。

時代は……もうお分かりですね?


では、また。

感想はいつでもお待ちしております。

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