エピローグ 別れ -それから十数年-
物語の都合上、実際の出来事や文献等に載っていることと(かなり)異なります。
あらかじめご了承ください。
「いや~、すごい話だったな」
「十年以上前にこんなことが起こっていたなんてびっくりだ」
観客が口々に感嘆の声をあげる。
タイムマシン記念館のシアタールーム。「時空冒険―1500年の旅―」の初公演が今、終わった。
大勢の人が帰っていく中、帰らない人が数人。
それは、本城、東川一家だった。
彼らは壇上にいるノウェム(人型に改良)に手を振り、向かっていく。
「これはこれは、マスターに優斗さん。お久しぶりです」
「お父さんがノウェムに新しい仕事を与えたって言うから家族で見に来たんだ」
「ちゃんとこなせたな。いや~、それにしても人型も似合うな。でもやはり表情だけどうしょうもならなかったか」
「メモリーと会話機能、あと体を動かすプログラムで限界だったわ」
優斗の横には本城博士と優子。そして、
「あ~もう! なんで『あの』シーンまできっちり再現されてるのよ!」
『あの』シーン―要するに1998年の告白―まで再現されていることに腹をたてる結衣、
「ふふふ、兄ちゃんと結衣姉ちゃんが二人っきりのときあんなことしてたなんてねぇ~」
それを見て茶化す美咲、
「あの時は小さくてまったく記憶になかったけど、私たちあんなにすごいことしてたんだね」
成長した希衣がいた。さらに、
「パパとママすごい!」
「かっこよかった!」
優斗と結衣の足元には小さな子供が二人。
現代に帰ってから二年後、二人は結婚。今では、六歳になる双子の子供もいる。(なぜ二年かかったかというと、優斗と結衣が自立し、自分たちで稼げるようになるまで双方の親が許さなかったから)
「どうだ、ノウェム? 大丈夫そうか?」
「ええ、ロボットですもの。これからもお二人……、いや、皆さんの活躍を未来に伝えていきたいと思います」
「お願いだからあのシーンは消して……」
「なにを言う、見せ場のひとつだからこそ残したんじゃないか」
「そうですか……。はぁ、あのシーンがこれから何年、何十年、何百年と伝えられていくのね……」
「まあいいじゃないか。あれがなかったら『今』がなかったかもしれないんだから」
「そうね、あのときのおかげかもね。でもやっぱり残るのは嫌~!」
ははははは、とみんな大笑いした。しかし、その中で大笑いできないのが一人。
声は笑っている。気持ちも笑っている。しかし、顔がそうならない。なぜなら他のデータ容量が多すぎて、表情のパターンが少ないから。
しかし、周りはそのことを知ってるから気にしない。だから逆に、相手に本当の感情を読み取ってもらえない。
「それじゃ、俺たちはそろそろ行くな」
「また時間があったら見に来るね~」
「……はい、それでは」
優斗たちがシアターの外に出て行く。
その様子を見ながら、一人残された『彼』がつぶやく。
「あの、ポケットの中にいたころが懐かしい……」
長い間一緒にいた人たちとの一時、もしかしたら永遠かもしれない別れ。
悲しいのに表情がないから誰にも気づいてもらえない。
それが彼を余計悲しくさせた……。
~The END~
どうも、kumihaです。
ついに完結!
最後まで語らなかった〈Narrator Part〉の理由。
これで解決したでしょうか?
実は、これだけはこの作品を書き始める前から決めていました。
なぜかっていわれるとこれといった理由はないのですが(笑)
これでこの物語は終わりですが、いかがでしたでしょうか?
初作品ということで至らないところもたくさんあったかもしれませんが、楽しんでいただけたでしょうか?
自分でももう少しこうしたかったってところはあるのですが、大会に出す作品ということでもう時間がないのが残念です。
これを書き直すのもいいのですが、もっといろいろなものを書いてみたいのでしばらくは新しい作品作りに取りかかりたいと思います。
では、また次の作品でお会いしましょう。
※感想・質問等はまだまだお待ちしております!※




