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第六章 決戦 -Key and Mystery-(中編) ―2005年 日本国際博覧会―

物語の都合上、実際の出来事や文献等に載っていることと(かなり)異なります。

あらかじめご了承ください。


※第六章は前・中・後の三部になります※

 次に一行が訪れたのは『ロボットステーション』。各企業が作った(当時の)最先端のロボットを展示してあったり、実際に動いているのを見たりできる。

「お〜! ロボットが沢山!」

 さすが科学者。笹野は目をキラキラさせて辺りを眺める。

 それもそのはず、掃除ロボに警備ロボ、接客ロボにチャイルドケアロボなど沢山のロボットが展示されている。

「気持ちはわかりますけど、百五十年前以上の技術じゃん」

 対して科学者を目指す優斗は冷ややかな反応。

「なにを言う。百五十年前以上でもこんなに素晴らしいものがあるんだぞ! このロボなんて…………」

「あーはいはい。それじゃあ行きましょう」

 こういうことに関して笹野は興奮すると永遠と話続けるので優斗はテキトーにスルー。

 笹野をおいて、他のみんなは行ってしまう。

「…………であるから、ってちょっと置いてかないで!」

 笹野はみんなを追って走っていった。

「ピピピピピ」

 さっきまで見ていたロボットが動き出すのに気づかずに……。

「ねぇ、なんか変じゃない?」

「何が?」

「だって、展示場なのに迷路みたいじゃん」

「確かに。何かの魔物の力かな? ノウェム、何かいるか?」

「最奥に巨大な魔物がいるだけです。多分、四神柱だと思います」

「それだけか。じゃあ今度は内部の地図を出してくれ」

「分かりました。……マップ構築完了。これは……」

「わぁ、すごい複雑。だから四神柱しかいないのね」

「よし、それじゃあ行こう。ノウェムナビしてくれ」

「分かりました」

 一行はノウェムのナビに従って進んでいく。

 しばらく進むと、何か音が聞こえてきた。

「何の音だ?」

「おにーちゃん、あっちのほうでろぼっとがうごいてるよ」

「ロボットが動いてる? そんな馬鹿な」

 希衣が指し示した方に行ってみると、確かにロボットが動いていた。

「さっきの警備ロボか。なんで動き出したんだ?」

 笹野が止めにいこうとしたその時、

「ビービービー」

 警備ロボから警報音が鳴り、笹野に向かってきた。

「まずい! 本当に警備してやがった!」

「みんな逃げるぞ! ノウェム、巻きながら最奥に着ける道を教えてくれ!」

「分かりました。では、すぐそこを右に、そのあと二つ目の十字路を左に……」

 一行は警備ロボから逃げる。どうやら警報音を聞きつけた他のロボットもやってきたようだ。

「うわぁ! 数が多いよぉ!」

「急げ! もうすぐ最奥だ!」

 その時、美咲がころんでしまった。

「きゃあ!」

「くそ!」

 優斗は銃を構える。しかし、笹野に遮られる。

「ダメだ! 展示してあるロボットを壊すわけにはいかない!」

「じゃあどうすれば……」

「仕方ないわ。結衣ちゃん、HT-001貸して」

「……? はい」

 結衣は言われるがまま優子にノウェムを渡す。

「あんまりやりたくないけど……、えい!」

 優子は何かを操作した後、ノウェムをロボットたちに向けた。

 すると、ロボットたちは突然止まった。

「び、びっくりしたぁ〜」

「美咲、大丈夫か?」

「うん。なんとか」

「優子さん、何やったんですか?」

「HT-001に搭載しているジャミングを使ったの。ただ、広域レーダーと同じようにそれなりにバッテリー消費するから使いたくなかったんだけど今回は仕方ないわね」

「どんだけ機能隠してるんだよ……」

 優子の説明に優斗は呆れ顔。

「さて、じゃあ四神柱を倒そう」

 一行は最奥に入る。そこには、様々な機械が稼働していた。

 そして、その中央に鎮座する一体の巨大な魔物。その魔物から周りの機械にコードが繋がっている。

「ようやく来たか。どうだ、俺の迷宮は?」

「なかなか趣味がよろしいようで」

「はっはっは、そうかそうか。俺は四柱神の一人、荒々しき雷雲を纏いし虎『稲妻ノ白虎』。俺は戦いが大好きだ。さあ、とっととかかってくるがいい!」

「言われなくてもやりますよ! 行くぞ、結衣、美咲!」

「ちょっと! 作戦は!?」

「ノウェムの解析結果次第! とりあえずは土属性使え!」

「兄ちゃんテキトーすぎ!」

 いつも通り三人は分散し、各自武器とアマスマで攻撃。しかし、虎というだけあり巨体のわりに動きが素早く、なかなか攻撃が当たらない。

 しかも常時放電していて、近づくどころか下手すれば動かなかなくても攻撃を喰らいかねない。

「どうすれば……」

「優斗、大変! ノウェムが解析出来ないって!」

「多分周りの機械のせいだと思います。すいません」

「マジか。こりゃやばいな……」

 絶体絶命。このまま三つ目の鍵は手に入らず、勇子によって世界は終わってしまうのか……。

 と、その時美咲がこんなことを言った。

「機械から電気を流したらどうなるんだろう……?」

「! それだ!」

 美咲の言葉を聞いて、優斗が何かひらめいたようだ。

「二人とも、俺を守れ!」

「は?」

「いいから!」

 そう言って優斗は機械へ走っていく。

「何すんの!?」

「機械の配線を逆にして電気を逆流させる!」

「それで勝てるの!?」

「知らん!」

「ちょっとぉ……」

 結衣と言い合いながら優斗は機械の蓋を開ける。

 そこにはたくさんのコードがあった。

「こんなにあんのか。二人とも頑張ってくれ」

「え~い。もうどうとでもなれ!」

 結衣と美咲が土の壁を作り優斗を守る。

 優斗は必死にコードを逆に繋いでいく。

「小賢しいマネなどせずにかかってこい!」

「うっさいわねぇ! いいわ、あたしが相手してやる!」

「ちょっと! 美咲ちゃん!?」

 白虎の挑発に裏美咲が登場。スタンガン使いということで対抗心が湧いてしまったようだ。

「美咲~、死ぬなよ~。さて、続き続きっと」

「あんた兄貴なのにそんなんでいいの!?」

「裏が出たらあんなもんでオッケー」

 話しながらなおコードを逆に繋げ続ける。

「よし、あと五本!」

 その頃美咲と白虎はものすごい戦いをしていた。

「俺の雷をくらえ!」

 白虎が美咲に雷を放つ。美咲はそれをスタンガンで受け流しつつ、アマスマ(土)で攻撃。白虎はそれをかわしまた雷を放つ。まさに一進一退の戦いだ。

「ちょこまか逃げやがって! くらえ!」

「貴様こそちびっこいくせにやるな!」

「美咲ちゃん、すごい……」

「よし、ラスト!」

 優斗が最後の一本を繋げる。

 すると、

「うぎゃあああああああ!」

 突如白虎が悲鳴をあげた。

 やはり電気が逆流したのだろう。一気に流れ込んだ電気に白虎は耐え切れなかったようだ。

「今だ!」

「おっしゃ、死ねぇぇぇぇぇぇ!」

 美咲がアマスマ(土)を最大出力にして白虎に放射。一撃で撃沈。

「美咲ちゃん怖い……」

 優斗の横で怯える結衣。

「いや、お前も戦ってる最中あんな感じに近いぞ」

「うそ!?」

「でも、そんな結衣も好……」

「兄ちゃん! やったよ!」

「そうですか……」

 優斗が結衣に何か言おうとしたようだが、思いっきり美咲に遮られる。

「貴様ら、なかなかやるな……。では、まず『謎』をくれてやる」


「勇子と東川家」

 一見関係ないように見えるこの二つ。実はすごい関係がある。

 なぜかって? 勇子は一度東川家に嫁いでいるからさ。

 そして二人の子を生んでいる。それが、結衣と希衣だ。

 びっくりしただろ。

そして前に玄武が話した日浦家の特殊能力、それが希衣に引き継がれた。

 それが、朱雀が話した希衣の行方不明事件につながるのさ。

 これで残る謎はあと一つ。さて、何が待ち構えてるかなぁ?


「以上だ。さ、鍵を受け取れ」

 そう言うと白虎は光の玉となり、鍵になった。

「そういうことだったのね」

「あんまり驚いた感じじゃないな」

「だって、もともと母親が違うことは聞かされてたし、今までの話から希衣がその特殊能力を持ってるのはなんとなくわかったもん」

「さすがに結衣でもわかるか」

「なによ、さすがにって」

「ははは。ごめんごめん」

「これで三個目ね。勇子、早まっちゃダメよ……」

「お母さん、突然出てきていい役全部取らないで」

「ふふふ。さ、次のところにいきましょ」




 最後に来たのは『メインドーム』。開幕式や大きなイベントが行われる。

「よし、行くぞ!」

 一行がドームに入ると、中は真っ暗だった。

「おいみんな! あれを見ろ!」

 (久々に出てきた)笹野が指差す先―多分、ステージの上だろう―に赤い二つの小さな光が。

「あれって……目じゃね?」

「そうよね……」

 すると、突然明かりがついた。

「あれは……!」

 ステージ上にいたのは黒い龍。

「よくぞ来た……。我四柱神の一人、何をも寄せ付けぬ暗黒を纏いし龍『漆黒ノ青龍』。我が最後の『鍵』と『謎』を持つ……。我と戦う者はステージの上に来れ……」

 青龍はいるだけで周りを圧倒させるほど、ものすごいオーラを出していた。

 優斗たちは近づきたいが、近づけないといった感じだ。

「よし、二人とも行くぞ」

「うん!」「どんとこい!」

 それでも、優斗たちはステージへと向かっていく。

「優斗、美咲、結衣ちゃん、頑張って!」

「お前たちなら勝てる!」

 後ろから(戦えない)大人たちからの声援を受け、一歩一歩ステージに近づいていく。

「子供三人か……。しかし、他の三体を倒すだけの実力は持っていると……。面白い。相手してやろう!」

 すると、ステージを黒い玉が覆う。

「わああああああああ!」

「きゃあああああああ!」

「ひゃあああああああ!」

「優斗!? 美咲!? 結衣ちゃん!?」

「なるほど。ここだと狭いから別の空間を作ったか」

「ちょっと、翔くん! 分析してる場合じゃないでしょ!」

「って言ってもこっちからどうしようもないからな。今はただ、三人が無事帰ってくるのを待つのみだ」

 その頃、三人と青龍は何かが渦巻く不思議な空間にいた。

「ここは……?」

「あそこでは狭いからな……。ここなら思いっきり戦える……」

「なるほど。それじゃあいくぞ!」

「…………」

 ド―――ン!

 突然青龍の尻尾が飛んできた。

「!?」

「ステージに上がった時点で戦いは始まっている。無駄口を叩く暇はないぞ!」

 続けて闇のブレス。三人はなんとかかわす。

「……っ……。結衣、いつも通り頼む」

「わかったわ。ノウェムお願い」

「分かりました」

「兄ちゃん、どうするの?」

「今まで通りでいく。戦ってる場所もそうだが、こいつに小細工は無理そうだ」

「じゃあ、使うのは光のストーン大丈夫かな?」

「それでいいと思う」

 三人は、今までよりもかなり緊張感をもって戦う。

 青龍は、今までの三体と違い全く無駄口をしない。そのため、しっかり見ておかないといつ攻撃がくるかわからないのだ。

 三人はノウェムの解析が済むまで一進一退。青龍が攻撃、三人は回避しつつ攻撃、青龍に当たるもあまり効果が見られない、青龍がまた攻撃…………を繰り返す。

 徐々に三人の体力は奪われ、だんだん動きが鈍くなる。

 ついに、結衣が青龍の尻尾に当たってしまう。

「きゃあ!」

 大したことなかったものの、そろそろ限界だろう。少し離れたところにいる美咲も辛そうだ。

「くそ……。ノウェム、まだか!?」

「お待たせしました! えーと、弱点は両目。有効属性は……ないです」

「有効属性がない!? じゃあなんとかしてやつの動きを止めて目を潰さなきゃならないのか!?」

「そんな……」

「兄ちゃん……」

「ひとつだけ作戦があるが……、失敗したら二人が危ないかもしれない」

「いいよ! やろう!」

「大丈夫。私たちならやれる!」

「わかった。じゃあ……」

 結衣と美咲は優斗から作戦を聞き、各自持ち場につく。

 それを見てもなお青龍は無言。ある意味怖い。

 そして今までの流れ通り、青龍が攻撃。攻撃直後の一瞬のスキを狙って美咲がスタンガンを構えて青龍の懐に飛び込む。

「おりゃああああああ!」

 両手に持ったスタンガンが青龍に直撃。「うっ……」と青龍が一瞬動きを止める。それを待ってましたとばかりに結衣が鞭を伸ばして青龍の首に巻きつける。

「優斗、今よ!」

「おっしゃ!」

 鞭によって固定された頭に向けて優斗が銃を撃つ。放たれた弾は見事に青龍の右目に当たる。

「うごおおおおおおおお!」

 青龍が痛みに苦しみ出す。すかさず優斗は左目を撃つ。少しそれたものの効果は十分だったようだ。

「ぐぎゃあああああああああ!」

 ついに青龍が倒れた。

すると辺りが光り輝き、もとのステージに戻った。

「優斗くん! 美咲ちゃん! 結衣ちゃん!」

「よかった。無事だったのね」

「はあ、はあ。さすがに強かったね」

「うん。一時はどうなるかと思った」

「さすが兄ちゃん。完璧な作戦だったね!」

 みんなが話ている横、倒れた青龍が起き上がった。

 すかさず戦闘態勢にはいるが、青龍からさっきのような威圧感は感じない。

「さすがだ……。まさか我まで倒すとは……。ではまず『謎』を授けよう……」


「本城家と東川家」

 謎などないようにみえるだろう……。しかし、子供たちが知らないことはたくさんある。

 なぜ、本城歩夢が東川家に近づいたか。それは、奴が日浦家の特殊能力を欲したからだ。

 なぜ奴がそれを知っていたかは知らん。

 奴は、東川の娘がその能力を持っているかどうか確かめるために東川家に接触した。

 残念ながら同じ日浦の血を引く自分の子供たちは持っている様子が見られなかったからだ。

 そして、希衣の行方不明事件を聞いた。

 様々な話などから希衣が特殊能力を持ってることを確信した奴は、東川の父親を研究グループに引き込んだ。優子と勇子という二つのサンプルを手に入れるためだ。

 しかし、あの事故が起きた。それ以降、奴は勇子に異常に執着するようになった。

 それをおかしいと思った勇子は東川家を去り、どこかに行ってしまった。

 貴重なサンプルを失った奴は、怪しまれないように東川家とは変わらず接し続け、希衣を見つけ出すためにタイムマシンの研究を進めた……。


「本城歩夢は私利私欲のために日浦家の二人を利用しようとした……といったところだろうか……」

 青龍が静かに締めくくる。それに対し優斗が反論。

「そんなはずない! お父さんはそんなこと考えてない!」

「どうだろうな。ただ、今我が話した内容は事実だ」

 それに対し優斗がなお反論しようとしたのを、突然優子が止める。

「そうね、多分事実よ。ただ、子供たちの話を聞く限りでは今はもうそうじゃないと思う」

 優子は静かにそう言う。青龍は何か言うつもりはないようだ。

「ほう……。まあ、そう思うならそれでいいのだろう。では最後の『鍵』を授けよう……」

 そう言うと青龍は光の玉となり、鍵となった。

「最後の鍵か。これで塔に入れるな」

「やっとかぁ~。もう疲れた」

「勇子を止めないと。さあ、最終決戦だ!」




 塔に向かう一行。すると突然美咲がこんな独り言を言った。

「あれ? 塔の位置が少し右に動いているような……?」

※後編でまとめてお話します※

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