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【 3/4 】
もうすぐ雨が降るよ。
そう誰かが言ったから
高い。高い。
上を見上げていたんだ。
もう何を見ているのかわからなくなるぐらい。
ずっと遠くを見つめていたのに
何の一滴も降りはしない。
嘘を吐かれた。
そう思う偏屈なアタシの足元には
バラバラと。
いくつも仮面があった。
いくつも。いくつも。
使い捨ての仮面は地ベタに転がって
欠けた角砂糖のように。
粉々になって端から消えていく。
あぁ。
今日も転がっている。
そう言いたくなったって。
アタシの口元も外側も重なりあって。
タマネギみたいに分厚くなっていたよ。
何枚も。何枚も。
泣かないように丁寧に剥がしていたら
言いたいことも届かないまま消えていく。
こんなアタシは
深い。深い。
どっかに埋めてしまえばいいんだ。
異臭を放った美味しい実がなるのだろうか。
それとも
何の香りもしない華美な造花が咲いてしまうのかな。
なんて
そんな事ばかりが飛んでいる四分の三時間目。