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【 廃墟的シンドローム】
ボロボロと。
ヒビ割れていく。
強欲なメッキが剥がれ掛けて
安っぽくなってしまった存在。
時が経てば経つほど。
現れていくその中身も安っぽいモノだった。
吐き気や寒気がするほどに。
裏切られた期待は大きい。
溶かされず。
壊されず。
ただサビていく。
嫌われたかもしれないのに
言うまいと決めていた言葉を告げて
安堵している自分に気付かされた逆転の夜。
悩まされ続けたあの不安は何だったのだろうか。
そう問い掛けてみても
誰も居ない廃墟ビルのように心の内側は静寂で。
後に残された足音だけが大袈裟に踊っている。
そんな今更感。
嘆いて。
汚して。
飾っても。
誰もいないのなら
こんな一瞬もアタシだけのモノ。
そう。
隅から隅まで独り占め。