94/106
【CPU】
瞼を閉じて。
更に眼を閉じて。
深い暗闇の中。
半分だけ眠りに縛られた夜は
浮いているのか。
浸っているのか。
油の中を彷徨っているようで。
同じ感覚に飽きて
奥でもなく。
手前でもなく。
曖昧な位置に耳を澄ましていると
頭の中から聴こえてくるんだ。
無機質な機械音。
何をそんなに処理しているのだろうか。
必死な音が響く。
チューニングをすればするほど
聴こえなくなるノイズ音は別物で。
忘れた頃にやってきては
機械音と重なるように頭の中へ入り込んでくる。
待ちくたびれた深い暗闇は
二色の断片を映し出しながら
スライドさせて消していく。
いくつも。
いくつも。
呑まれて落ちれば
何の夢を見るだろうか。
ゆらり。
ゆらりと。
澄まして引き寄せられたら
何の声が聞こえるだろうか。
あやふやに。
あやふやに。
まどろみながら
アタシの頭は閉じていく。