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【 ANTENNA 】
遠くで音がした。
遠くで音がしたのに
彼はアタシに無関心。
関心があったとしても
それはあるという振り。
いつだって。
大きな目玉のついた鮮やかなパッケージを
両手いっぱいに広げて
アタシではない遠くを見ているの。
瞬きをするように。
カチカチと。
ブックマークは増えて。
カチカチと。
興味は薄れ消えていく。
ねぇ。
その深呼吸は
誰の為の呼吸なの?
足りないのはわかっているよ。
都合の良い角度なら見栄えがいいのかもしれない。
けれど。
その裏側はどうだろうか?
サポートセンターは
三角形の影に隠れたアタシを見つけて
小宇宙から電話をかけてきたんだ。
花が咲かないのは偏食だから。
その言葉だけは理解できたの。
でもね。
日本語もままならないアタシには
膨大な情報なんて受け止めきれなくて
すぐに電話を切ってしまったよ。
電波なんて便利なモノがあっても
繋がらなければ意味が無い。
唇からサヨウナラ。
それさえも言えないのなら
それは只の不便利なコウシンとコウジツ。
結局。
アタシと引き合っているのは
小宇宙でも彼でもないのかもしれない。