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【 Restart 】
気狂いな濃度に惹かれて
タユタウ煙を追いかけた。
往復したって
何も変らないのに。
アタシは何度も見つめていたんだ。
最初はね。
あれも。これも。
それだって。
深く信じていたのよ。
でもね。
気が付いたら
どれも偽りだって印をつけて
全部信じられなくなっていた。
そんなアタシの方が偽り者だったの。
キリキリと。
爪を立てたアタシの内側は
穴が開いて水漏ればかり。
ドンドンと。
勝手に錆びては傷付けて。
触れれば自爆の不良品。
魅する為なのか。
守る為なのか。
可笑しなぐらい曖昧…曖昧。
眩しい月に焦がれながら。
擦れ違う音に合わせてカラスは唄う。
綺麗に堕ちるより
どうせなら。
飛んでしまった方がいい。
届く先まで真っ白に。
照らされてしまった方がいい。
不恰好な駆け出しでも
化けてしまえばコッチノモノ。