90/106
【 Between completion and defects. 】
彼との約束は26時。
どんなに待っても、彼は現れない。
だってね。
最初に約束を破ったのはアタシだから。
フワフワと歪む視界の端っこで
離脱した迷子を見つけて
指先でそっと拾い上げてみたんだ。
何かが欠けている。
何かがね。
それは欠けていた方がいいのかもしれない。
隙間があればあるほど
その分、お互い求め合うことが出来るから。
ワラワラと数ある中に。
美味しいモノに
アリツクコトは出来なくて。
その場しのぎに肥えたモノほど
すぐには落ちてはくれない。
全てが満たされて
丸く太ってしまったそれは。
ツルツルと滑って
何処かへ転がってしまうだろう。
手を繋ぐように引っ掛かって
色濃く馴染んで満たされて
通り過ぎる何かにぶつかりながら
シンシンと。
笑うように欠けては引っ掛かる。
適当にバラ蒔いたそれは。
何色に染めてくれるだろうか。
なんて考えるアタシの頭の中は
油まみれの炭水化物でいっぱいなのよ。