88/106
【 hide-and-seek 】
戯言は溢れるほどに。
でもね。
アタシは変換というキノウを見失っていた。
両手にあるのは絞り出されたクズばかり。
そんなアタシに無関心だったザツオン達は
標識が変われば一斉に。
言葉を装いドカドカと
土足で先に踏み込んでくるんだ。
残された泥土は図々しくて。
すれ違う表はドレモコレモ。
知ったか振った仮面をつけて
泣いて笑って脅えているの。
だからね。
嫌な香りに指先染めて
耐え切れず悶えてみたんだ。
そんなアタシに見慣れた癒しは
そっと手を差し伸べてくれたけれど
修復は不可能。
もう手遅れだった。
ほらね。
腐ったパインに青空は見えない。
食べかけのイマに唇を舐めても
胸焼けすら感じはしない。
アァ。
なんて味気ないのだろう。
ネェ。
なんて物悲しいのだろう。
そう。
タラタラと。
舌先に深くぼやく間に
溶けだした世界は色を変えてしまうよ。
何かを求めて漂いながら。
何かを知って酔い痴れて。
擬態遊びを繰り返しながら
甘美なウラは待ち続ける。
きっとね。
虫メガネを越えた先で
焦るアタシを見てはクスクスと。
両手で口を押さえて笑うのよ。