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【 The milk which was rusted. 】
気だるそうなミルクは
ほんのり温まって撫でるように落ちてゆく。
忘れないように
ちゃんとメモしておいて頂戴?
言い訳は無用心。
締め上げてしまうから。
毎回迎えるアナタは几帳面。
閉じて。
開いて。
修復は予定通り順調で。
壊廃寸前の自己満足は
ヒネクレモノへと変わっていった。
どんなに優しくしたって
返ってくるモノは天邪鬼。
嫌気がさして目を閉じると
暗闇の中で重たいシャッターがお辞儀をするの。
ガシャンとね。
そっと開いた頭の中では
閉め切った引き出し達が寄り添い騒ぎ出す。
静かに耳を傾けると
奥からスイッチを消す音が右往左往。
ほら。
パチパチと。
聴こえるかしら?
慌てることもなく。
マダラな鍵達は自慢げに
お互いのサビを掲げながら語り合っていたわ。
油をさしてスムーズになりたくても
彼等はギザギザにしてしまう。
そんな影を目の当たりにしたアタシは
少しでも傷つくのが怖くて
話し掛けることさえ出来ないのよ。