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【 asphalt jungle 】
6時きっかりのエンジンは
眠そうに誰かを待っていた。
赤い車は繊細なのね。
小さく震えて脅えていたわ。
彼とは違うのよ。
そんな呟きがアクビして
アスファルトの端っこで寝そべってしまう前に。
鐘を鳴らして
いざ前進。
当ても無く。
果てし無く。
停まるまで
ありのまま。
何だかね。
アタシの矢印が知らぬ間に。
キミの歩みを停めていたみたい。
それはチクチクと
キミの上辺深くに刺さっていたかしら?
欠けたアタシの矢印。
消えた破片は逃亡者。
空白の隙間は傍観者。
すかさず。
合いの手打つのは愛嬌者。
宴後は滑稽で。
酔いどれた地面に足跡はつかない。
ふわりふわりと浮いてしまうから。
このまま何処かへ飛んでいこうか。
そう星空を仰ぎながら
指を突き立て一息吹いてみたんだ。