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【 DELETE.】
DELETE.DELETE.
何処かで無意識に押されているスイッチ。
アノ人の内側に存在しているアノ人。
小さなお部屋の中で溢れるほどのデータに囲まれながら
淡々と判別しているの。
アタシを開いて覗いて見ても
きっと醜く嘆いているだけ。
何だって捨ててしまえばいいのに。
何だって消してしまえばいい。
どうして手放せないのだろう。
要らないモノにアタシは惑わされてばかり。
ちっともスッキリしないよ。
ほらね。
狭いアタシのお部屋はもっと窮屈に。
効率の悪いアタシは埋もれていくだけよ。
埃まみれで酸素不足。
小さな出窓にしがみ付いているのが精一杯。
出して出してと
叩いてみても
何の音も響かない。
表のアタシはイジワルだから。
己が内側に入ることを恐れて
隙間なく必死に塞いでいるの。
いつまで経っても同じ場所から抜け出せない。
そんな自分に裏切られて
そんな自分を信じることが出来ない。
それなら壊れてしまいたい。
折るんじゃなくて
壊して壊して
粉々に。
いっそのこと。
何処かへ吹かれてしまえばいいんだ。