【Temperature of sugared water】
渇いている事が
当たり前だったアタシに
アナタは水を与えてくれた。
細く長い水道みたいに
遠くから。
少しずつ。
無味な潤いに染まったアタシ。
それに気づいていたアナタ。
栓を締めるように
突然…
与えることを止めてしまった。
楽しんでいるの?
全然見てはくれないから
アタシはセツナイよ。
涸れ切れず
朽ち果ててしまうぐらいなら
忘れよう。
そう思ったの。
それなのに…
駆け引き上手なアナタ。
アタシのヒビ割れた細胞へ
こぼしたかのように与えるわ。
久しぶりに聞いた声は
砂糖水みたいに甘くて優しい。
素顔に気づいてしまった瞬間
触れてみたいと思った。
隠すように
ずっと忘れかけていた感情。
前触れも無く落ちていた。
変わる感覚を追うように
息切れしそうになったの。
アナタに追い着けない。
そんな気がして怖いんだ。
手を繋いで
通じ合えなくても
指先だけで
追い着けなくても
背中だけは見ていたい。
泣きたくなるぐらい
どこか愛しくて
想い浮かべるほど
寂しさが顔を出す。
きっと
アタシだけの一方通行。
アナタは早歩きだから
後を引く余韻だけ残して
また見えなくなってしまいそう
アナタにとって
アタシの存在は
通り過ぎる1つでしかない。
きっと
そんなモノ。
汗を掻いたなら拭って
歩き疲れてしまったなら癒して
少しでも
アナタの必要な一部に…
冷たい影だけでもいいから
アナタの存在を感じていたい。
気まぐれな空を見上げ
ワガママにそう願ったんだ。