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【sweet sandglass】
眠る前にヒトクチ。
たった一度。
味を覚えてしまった世界からは
なかなか抜け出せない。
撫でた香りがする度揺らぐ。
味も香りも
あれとこれとじゃ別物。
全然違うわ。
喉が渇いてしまう前に
早く逆さまに。
紳士を着飾ったあの人なら
きっと気づいてくれるはず。
そうでしょ?
深く夢を見過ぎて
アタシは出られなくなった。
吸い込み過ぎるから
むせるように苦しくなって
無意識に閉じているんだ。
見えない何処かで
大切な何かを見失っている。
そんな気がして虚しいよ。
余裕も無いのに求めるばかり。
そんなモノに必死な気持ちは
与えることさえ出来ていない。
駄々をこねる子供みたいに
ただワガママに独りよがりして
無いモノねだり。
溢れ出しそうな感情に愛想笑い。
揺れ動かない一部は敏感で
どう誤魔化せばいい?
わからないよ。
アタシはただ脱ぎ捨てて
素顔で呼吸していたいだけ。
今のままじゃ
気にする重さに潰されそう。
グシャグシャになっちゃう前に
マヤカシから抜け出さなきゃ。
類似はあっても同じは無い。
1つ限りの1秒ばかり。
だから
天真爛漫に。
そんなアタシで。
そう笑っていたいもの。