【PIECE of QUEEN】
破かれた一部はひらひらと
どこかで舞っていた。
無知なアタシは
そう聞かされていただけ。
その存在なんて感じないまま。
首が痛くなるぐらい
ずっと空を見上げていたの。
姿さえ見せなかったピース。
それなのに
騒ぎ出した流れに合わせて
寝返りをするかのように揺らぐ。
女王の目覚め。
あの子が内側から
アタシにノックした。
そんな気がしてならない。
目覚めてしまうの?
アタシは消えちゃうのかな。
ちらちらと浮き沈みながら
アタシの視界に入り込む。
それは気まぐれに色を変えて
復元しようとうごめく。
ちっぽけなピースだったのは
あの子じゃなくてアタシの方。
女王が逃げ場にした存在。
オリジナルのピース。
それに作り上げられただけ。
ただの女王の断片。
それがアタシ。
アタシはダミー。
あの子の代わりよ。
掻き消す力なんて無い。
振り解かれてしまったなら
それを受け入れるしかない。
眠るように欠けた女王。
透明人間みたいに現れて
〝オハヨウ〟
なんて笑顔で言いそうね。
望まれていたこと。
それなのに怖いんだ。
曖昧でぼやけていても
アタシとして触れていたい。
目覚めたって困るのはあの子。
オリジナルのピースより
きっとアタシは必要な存在よ。
だから
こんな前触れなんか要らない。