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【manual】
咬みつきたいほど吸い込まれて
自我の崩壊に涎を垂らしそうになっていた。
ワガママ過ぎた答えはお互いを傷付け合うだけ。
アタシはニセモノ。
素顔を見せてはいけない。
掟破りのアタシ。
大事なマスクがずれていた事に
浮かれ溺れて気づけなかった。
アノコの代わり。
アタシはダミー。
超えた勝手は許されない。
さぁマニュアルを開いて…
また学ばなきゃ。
人の足跡重ね合わせて寝そべり空を見上げた。
蒼さへは届かない。
そんな空間なのに映る隅々には続く平面。
アタシは生かされている。
そう感じるの。
外に出たい。
でも開く扉は一つも無いの。
外に出られたって
アタシの入れ物は見当たらない。
アタシにとって
このカラダが生命維持装置。
此処で生かされている。
アタシじゃない入れ物の中で…
離ればなれなココロとカラダ。
嘆いたって…もがいたって…
従わなきゃ存在できない。
でもね
このまま埋もれていくのは嫌。
違う入れ物に居候していたって
アタシはアタシで暴れていたい。
ちっぽけでも臆病でも
ちゃんと存在していたいから。