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【$施錠$】
信じきっていた。
だから
キミの事ちゃんと見ていなかったよ。
たぶん失う事が怖くて
無意識に目をそらしていたんだと思う。
変われないのはアタシだけ。
頭の中に笑うキミがいて
楽しそうな笑顔にため息。
もういいわ。
見たくないのよ。
あの扉は重たくて
その鍵穴は頑丈なの。
もちろん。
肝心の鍵なんて捨てたわ。
当たり前よ。
嫌う汗臭さに蓋をしたいだけ。
叶っても快適ではないの。
同じ味に飽きた。
そんな雰囲気と類似。
ミンナ中身は同じ?
教えてよ。
アタシは満たされなくて空腹感に悩まされる。
食べた気でいたのは一瞬。
気が付けばカラカラな心。
もうすぐ寒い季節。
蓄えなきゃ。
でも追いつかない。
扉の中はきっと温かい。
破れかぶれなカラダを引きずり
冷たい扉を叩く。
相変わらず隙間からは汗臭さが漂う。
閉ざされた奥からは囁き声。
強く叩けず透明人間なアタシ。
救いの鍵は深い底。
ねぇ気付いてよ。
でもダメね。
そんな事想ったって。
今のアタシに寄ってくれるのは
扉の外でうろつく汗臭い奴等。
此処はそんな欲望ばかり。
早く探さなきゃ……。
アタシの合鍵を持つ共犯者を。