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【 Invasion Plan 】
スヤスヤと。
寝返りするのも忘れて。
なんかの幼虫みたいに
深い底で眠りにつかせていたんだ。
それなのに。
甘すぎる侵略計画は突然に。
掘り起こされたアタシは
アリンコに塗れた視界を掻き分けながら
手の鳴る方へ。手の鳴る方へ。
誘われて現れて見えた幻は
綿飴みたいな時間を抱えていたよ。
浸っていたら。
何時の間にかベタベタに動けなくなっていたの。
一周廻って消え行きながら
陽気な風とご一緒に。
幻は無神経なイジワルを連れてきた。
それは本当に一瞬の出来事。
ツンツン。ツンツン。
アタシの指先でイジワルは踊り狂う。
表にさらされて。
何時の間にかマルマルと太って甘い香りを漂わせていたの。
消えない。消えない。
ひび割れた傷跡をなぞって。
馬鹿みたいに呆気無く弾け散った我欲。
だからね。
不貞腐れたアノ箱へ。
掻き集めて握り締めて封じたんだ。
小さな鍵まであしらって。
元いた忘我の果てへ。
そっと放り投げて。
セメントでも流し込めば
ほら見えない。もう見えない。
甘すぎた侵略計画は中止。
そうなればいいのに。