表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
NoraGirl  作者: anzy_n
100/106

【 many many 】



落ちかけた陽の光を差し入れて


ほんの少しだけ誤魔化してみた。



待てなかった20秒。



一つ何かを後悔して


大きなゴミ箱に投げ入れてみた。


笑っているような音がして釣られ笑い。



ほら、気がついたら。


あの三角の光は見当たらない。


あの鼻歌も聴こえないし。


あの香りもわからなくて。


あの足跡も響かないまま。


あの冷たさも感じはしないの。



ずっと昔に無くした何か。


深い深い穴に転がり落ちてしまった何か。


両手を広げても触れられない。


そんなのあんまりよね。



都合のいい言葉がかすっただけで


アタシのちっぽけな世界は大停電。


ブレーカーのスイッチはオフのまま。


深い深い穴にダイビング。


なかなか帰って来ないのよ。


だから、意地でも引っ張り出したくなったの。



深い深い穴ならば。


たくさん泣いてみよう。


溢れるぐらい注いだら


浮かび上がってくれるだろうか。



アタシは生きているから。


虫眼鏡片手に文句を言いながら


小さな幸せを摘まんで集めていたいの。



深い深い穴に呆れられるほど泣いていたら


アタシのちっぽけな蛇口は


黙ったまま壊れかけていたわ。



アタシは生きているから。


もしもね。


明日も溢れるほど泣いてしまったら


集めた幸せを浮かべて流そう。


繋いで繋いでカサブタに。


そうなってと願って


バカみたいにばら蒔いてやるの。



塞がるまであと少し。


理不尽な一瞬が邪魔をして


築いた物が崩されてしまう時もあるけれど。


根は強いもの。


すぐに新しい芽を出そうと


けしかけながら笑っている。



だから。


たくさん集めて。


たくさん泣いて。


たくさんばら蒔きながら。


アタシは生きているから。


こんな在り方しか知らないけれど。


太陽に向かって


たくさん文句を言ってやりたい。


それが出来るだけで十分なんだ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ