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彼女が超能力OLで、僕は全部支配されました  作者: バンディット
第七章 涼子♡本気になる(最終章)
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第7章-EP11 未来へ歩くふたり

【涼子、会場潜入——だがそこには桜井が待っていた】


臨時株主総会が開かれている、陽光商事本社ビル最上階の大ホール。


その会場の真上、関係者以外立ち入り禁止の屋上の隅に、そっと身をかがめて空中から降り立った涼子の姿があった。


「翔太くん……」


翔太の緊張が、まるで自分の心に直結しているかのように、涼子には痛いほど伝わってくる。


(大丈夫……あなたはやれる。でも、今は……私がそばにいなきゃ)


軽く深呼吸すると、涼子は両目を閉じ、最上階大ホール付近の風と気配を感じ取るように集中する。自分が入れそうな窓を気配で感じた涼子は次の瞬間、ふわりと宙に浮かび、窓のわずかな隙間から静かに会場内へと滑り込んだ。


——そして翔太のもとに駆け寄ろうとした時、


「そこまでだよ、高橋涼子」


低く、しかしはっきりとした声が響いた。


そこに立っていたのは、桜井だった。


その隣には、彼に雇われたと思しき私設のボディーガードたちが待ち構えていた。


「臨時株主総会は、公正かつ秩序ある運営が求められています。あなたのような“予測不能な人物”には、退出してもらわなければ困ります」


「……ふふっ♡予測不能って、私、何かしましたっけ?」


涼子は静かに微笑むが、その目は笑っていない。


桜井は顔をひきつらせた。


「君が“何をしうるか”は、私が一番よく知っている……!」


手を振ると、屈強なガードたちが涼子に立ちはだかる。


(……この場をテレキネシスで無理やり突破すれば、会場は混乱に陥る。株主も社員もパニックになる。そうなったら——翔太くんが、困る)


涼子は悔しさを飲み込みながら、歯を噛みしめた


——そして(翔太くん、私はここよ。頑張って!)——涼子はその言葉を感情に込めて翔太に送る


ガードに囲まれたまま、その場を離れるよう促される涼子。


だがその瞳は、まっすぐにステージ上の翔太を見つめていた。


===================

【翔太の決意——すべてを受け継ぐ、覚悟のスピーチ】


壇上のスポットライトが、翔太のスーツ姿を照らしていた。


満席の会場。列席した株主たちの視線が一斉に翔太へと注がれる。


司会者の声が響く。


「では、佐々木翔太 新社長より、就任のご挨拶を申し上げます」


マイクの前に立った翔太は、一歩前に出た瞬間、足が少し震えた。


喉が乾く。視線が怖い。背中が重い。


──涼子が、いない。


それが、何よりも不安だった。


(……僕に、社長なんて……できるのか?)


頭が真っ白になりかけたその時、ふとその時——


「まぶたの裏に、微笑む涼子の顔が浮かんだ。『翔太くん、私はここよ』──その涼子の感情のイメージが、確かに翔太の心に響いた。」


涼子がいた。ガードに囲まれながらも、じっとこちらを見ていた。


いや違う。


“信じてくれていた”。


翔太の胸に、涼子の声が甦る。


> 「翔太くんは、ちゃんと“人の想い”を引き継げる子だよ♡」

> 「私の大切なもの、全部任せられるって思ったんだもん♪」


その瞬間——何かが翔太の中で切り替わった。


彼は、マイクを握り直した。


「……みなさま、本日はご列席、誠にありがとうございます」


声が震えない。むしろ、澄んでいた。


「私は……まだ未熟です。経験も、人脈も、桜井前社長のようなカリスマ性も、ありません」


会場がざわつく。


「でもひとつだけ、誰にも負けないと胸を張って言えることがあります」


翔太は、拳をぎゅっと握った。


「それは——“未来を信じる力”です」


静寂。数秒の間を置いて、彼は続けた。


「私は、たくさんの想いを受け取りました。社員のみなさんの汗や涙、私の妻の涼子の強さと優しさ、そして株主のみなさまの決断」


「全部、全部、僕の中に生きています。だから、僕は陽光商事の未来を背負う覚悟があります」


「どうか、これからも……この会社の未来を、共に創ってください!」


……拍手が、ゆっくりと湧き上がる。


初めは一人、二人。


だが次第に会場全体が鳴り響くような拍手に包まれていく。


===================

【涼子の反応——涙と微笑みの余韻】


ボディーガードたちに総会会場の外に追いやられながら、涼子の耳にマイク越しの翔太の声がはっきりと届いた。


> 「私の妻の涼子の強さと優しさ……全部、僕の中に生きています。

> だから、僕は陽光商事の未来を背負う覚悟があります!」


その一言に、涼子の心がふるえた。


(……翔太くん……こんな公の場で私のこと『妻』って♡……)


頬を、静かに涙が伝う。


けれどその涙は、もちろん悲しみではない。嬉しさと誇りに満ちていた。


(もう、私がいなくても、ちゃんと飛べるね……♡でも――)


「ずっと逃がさないけどね♡」


小さく呟き、にっこりと微笑む涼子。


そのとき――


背後から、ひとりの男が歩み寄ってきた。かつてこの会社を支配していた男、桜井前社長。


冷たい汗が滲んだ顔で、涼子をじっと見据える。


「……やはり貴様がなにかやったのか。お前さえこの場にいなければ……なんとかなると思っていたが……だが、もうすべて終わった……」


涼子は、ゆっくりと桜井を見返す。その瞳には、もう怒りも、焦りもなかった。


「ふふ……私はなにもやっていないのよ♡」


「なに?」


「翔太くんは一人でも飛べる。でもね、翔太くんの“心”は、ずっと私のものなの♡」


言葉にとげはなく、ただ穏やかな微笑み。


それが桜井にとって、なによりも恐ろしかった。


「……異常者め……それでも私は……この陽光商事を築いた男だ……」


桜井は背を向け、足早に去っていった。


残された涼子は、そっと手を胸に添える。


(翔太くん……もうすぐ、会いに行くね♪)


その瞳はもう、涙ではなく、まっすぐな愛と未来を見つめていた。


(でもその前に……ちゃんと”けじめ”はつけなきゃね♡)


===================

【涼子vs桜井、二度目の対決】


陽光商事の本社ビルを後にしながら、桜井は不機嫌そうにリムジンへと歩いていた。


(……あの女のせいで、すべてが狂った。陽光商事は……私のものなのだ……絶対にすぐに取り戻してやる!)


自分のリムジンの前に着くと、ドアがスッと自動で開く。


(なんだ? 自動ドアなど付けた覚えは……運転手のやつ、また勝手な真似を)


ブツブツ文句を言いながら車内に乗り込もうとした、その瞬間——


桜井は固まった。


後部座席、向かいのシートに座っていたのは、満面の笑みを浮かべる涼子だった。


「うふふ♪ ようやく、二人きりになれたわね♡」


咄嗟に逃げ出そうとする桜井。しかし次の瞬間、涼子がスッと指を動かすと、彼の体はふわりと宙に浮かび、そのまま強制的に運ばれて向かいのシートへと着席、シートベルトが蛇のようにひとりでに動いて彼の体を締める。


続いてバタン、とドアが閉まり、ロックもかかった。


「おい、運転手! この女をつまみ出せッ!」


怒鳴るが、返事はない。


「運転手さん、疲れてたのよ……ぐっすりお昼寝中♡」


涼子は無邪気に笑うが、その瞳には怪しい光が灯っていた。


「……逃げられないって、ようやく理解できた?」


涼子がクルリと指を回すとリムジンが静かに発進する。運転手は眠ったままなのに、ハンドルもアクセルも見えない力で操作されていた。


「化け物め……俺をどうする気だ。だが言っておく、もうお前の能力は効かんぞ」


「ふふ、私の“能力”? なんのことかしら♡」


「白々しい! 貴様は……他人の脳内ホルモンを操る能力を持っている。私はもうその手には乗らん!」


「まあ恐ろしい。でもそんなことができるなら……あなたの記憶くらい、消してしまうわよね? どうして“そんなことを考えられる”のかしら?」


「……俺は、忘れなかった……あの時の屈辱を!」


桜井は息を荒げながら続ける。


「だからお前の“弱点”でもある佐々木翔太を調べた。あの男は“ソノカタシロ”のおかげでお前のホルモン操作に耐性がある……! そして私はその成分を接収したんだ。もう、お前は怖くない!」


涼子はくすくすと笑いながら、彼に言い返す。


「翔太くんが“弱点”?……ふふ、違うわ。彼は私の最強の武器。そして、世界が差し出した私への——供物♡」


涼子がふたたび指をクルリと回すと——


> 走行中のリムジンがスッと地面を離れ、フワリとした浮遊感が桜井の背中を押し上げる。

> 周囲の音がすっと静まり、タイヤがアスファルトを離れた“無音”の違和感だけが残った。

> そしてリムジンは静かに時計回りで360度、空中を走りながら旋回した


「うわっ、な、何が起こった!?」桜井が絶叫する……


——そして、リムジンは何事もなかったかのように地面に戻り、そのまま走行を続ける。


「彼がいないと……私、なにしちゃうか分からないんだから♡」


桜井は、シートベルトを握り締める手が震えているのに気づいた。


(この女……もはや人間じゃない……)


桜井の顔に涼子への畏怖があらわになる。


===================

【涼子、けじめのお仕置き♡】


「うふふ♡ お仕置き決定ね♪」


「ち、ちょっと待て。そんな力があるのにお前はなぜ会社員などやっていた?もう俺はソノカタシロの力を得たんだ。同じ条件ならあんな”子供のおもちゃ”の佐々木翔太ではなく王である俺の方が上に決まっている。この国の経済を動かしていたのは誰だと思っている!?俺の手ひとつで株価も為替も操れた……!あんな奴とではなく俺と組めば日本をいや世界を支配できるぞ!」


——赤く輝く涼子の瞳が、桜井の視線を捉える。彼の体は金縛りにあったように動かなくなった。


「あなた……全然わかっていないのね。私が支配したいのは翔太くんただ一人だけ♡世界なんてどうだっていいのよ」


——涼子は、するりと隣に座り、そっと彼を抱きしめる。


「せっかくだから、教えてあげる。これが“リラックスホルモンのハグ”。翔太くんは毎日、朝昼晩これを受けてるの♡」


「そしてこれは……一般人が“とろける”レベルの2倍の強さ。あなたに社長室で使ったのと同じ、”調整用”の出力なの♪」


——桜井の脳内で、温かくとろけるような快感がじんわり広がっていく。


「……ふ、ふん。全っ然大丈夫だ。俺にはもう効かないぞ!ちょっと気持ちいいだけだし……佐々木翔太も、大したことないな」


「まあ♡ さすが“ソノカタシロ”の効能ね♪」


「……じゃあ、思い切って5倍いってみましょっか♡」


——ブワッと泡立つような多幸感が、桜井の全身を駆け巡る!


「な、なにィッ!?2倍が限界じゃなかったのか……!? ……うわ……あ、ああ……すごい……なんだこれ……!」


「ふふ♡ 効いてきたわね~。この様子なら、7、8倍であなた、堕ちちゃうかもね♡」


「じょ、冗談だろ……!?」


「ちなみに——翔太くん専用のハグは50倍。でも彼は全然、平気なの♡」


「えっ……ご、50倍っ……!?」


——桜井は気が遠くなった、と同時に翔太がなぜ”供物”なのかを完全に理解した。


(そうか、佐々木翔太がいてくれるおかげで”俺たち”は守られていたんだ……)


「それじゃ、ちょっとずつ上げていくわよ~♡……6倍……7倍……」


「あ、あ、あ♡ち、ちょっとタンマ!いや……で、でもすごくいい!!」


——出力8倍。社長室で味わった、“脳が泡になって弾けるようなあの感覚”が一気に押し寄せる!


桜井の眼球はグルグルと回転し、身体は硬直したままピクピクと震えだした——


「あばばばばば……♡ き、気持ちいい……もう会社なんて……陽光商事なんてどうでもいい……し、支配されたい……♡」


「あ♡堕ちたわね♪」


涼子は桜井の顔を両手で抑え、その赤い瞳でまっすぐ彼の目の中を覗き込む。桜井の視界と脳内は赤いレーザーにあてられたように赤一色に焼かれる。


「かわいそうに……記憶を消したんでかえってつらい目にあわせちゃったのね……いいのよ……あなたはもう忘れなくてもいいの。私の言う通りにすれば、もっと気持ちよくしてあげる♡」


「……はぁ……♡ 命令……なんでも……なんでも言ってください♡♡」


「じゃあ、これからは翔太くんを社長として尊敬して、役員として支えてね? わかった?」


「はひっ♡、もちろんですっ……! 翔太様を全力で……サポートさせていただきますぅ……♡」


「いい子ね♡ じゃあ今日はこれでおしまい。おやすみなさ〜い♪」


パチンッと指を鳴らすと、桜井はストンと眠りについた。


◇◇◇


皇居のお堀のほとり、街灯もまばらな夕暮れの道に——リムジンは音もなく、静かに滑るように停まった。


涼子は満足そうにドアを開け、夕焼けの空を見上げながらつぶやいた。


「さあ、早く愛する翔太くんのところに行かないと♡」


そして、ウキウキと翔太の待つ陽光商事本社ビルへ向かってピュンと飛び立った。


===================

【クロージング——未来へ歩くふたり】


総会と諸々の手続きが終わり、重い扉が開かれる。


ざわめく人々の中、翔太は一歩一歩、ゆっくりと外の光へと足を進めた。


不安も、戸惑いも、すべてやりきった——


その後に訪れる、心地よい余韻の中にいた。


——そして。


その先に、ソワソワして彼を待っている人がいた。


(準備はいい涼子?いきなり翔太くんに抱きついたらダメよ、成長した翔太くんを迎えるのはあくまでしっかり者の『妻』、彼が調子に乗らないようにちゃんとたしなめなきゃ。大丈夫、私はしっかり者の妻……しっかり者の……しっ……い、いけない、走り出しそう♡)


翔太「涼子先輩……僕……」


涼子「ふん、思ったより早く終わったのね。ま、翔太くんにしては上出来じゃなーい?」


……でもその言葉と裏腹に、涼子の足はもう翔太に全力ダッシュ寸前。


涼子「……し、社長になったからって、あまり調子に乗っちゃだめよ。でも今日だけは、と、特別に甘やかしてあげるんだからね♡」


(やばい、今すぐギューって抱きしめたい……100倍で♡)


翔太は、ちょっと膨れた顔で返す。


「えっ?なんで“今日だけ”なんですか!?


僕、一生分がんばったんですよ?……ほらほら、もっと褒めてくださいよー、先輩〜!」


涼子は、ぷいっとそっぽを向いたふりをしながら、心の中では叫んでいた。


(だめ……めっちゃ嬉しすぎて、好きすぎて、言葉にならない……!)


その瞬間、翔太がそっと涼子の頬に手を伸ばした。


「……ただいま、涼子先輩」


——ぷつん。


涼子の“ツンデレスイッチ”が崩壊した。


「翔太くん!!よくがんばったわね……!世界一かっこよかった……もう、ほんとに、ほんっっっとうに大好きっ!!100倍のギュー♡♡♡」


満面の笑顔で翔太に飛びつく涼子。100倍のリラックスホルモンのハグは二人を包んでバチバチと静電気のような閃光を巻き起こす。


翔太「あ~癒されるー♡何なんですか100倍って?」


涼子「秘密♡」


(やっぱり、私の翔太くんだ♡)


ふたりは手を重ね、ぴたりと寄り添ったまま、夕日に照らされる陽光商事のビルを見上げる。


それはただの会社ではなく、ふたりが出会い、すべてをかけた舞台。


翔太の肩に頭を預けながら、涼子がそっとささやく。


「これからは、私たちの会社ね♡」


「うん。じゃあまずは……社員旅行の計画から?」


「そういうのは支配者の私が決めるのよ♡ ふふっ♪でも始めはソノカタシロ事案の解決、そして結婚式ね♡」


晴れ渡る夕焼けの空の下。


ふたりの“未来”は、確かに、ここから始まった。


⇒次回はいよいよ最終回。明治神宮での結婚式!


挿絵(By みてみん)

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