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彼女が超能力OLで、僕は全部支配されました  作者: バンディット
第6章 結婚式プロジェクト
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第6章-EP35 涼子 vs 魔女っ子 甲府ロマンタンデム大作戦(パート3)

【パンプキンちゃん1号(Pちゃん)富士山に会う】


「——あっ、見えた!翔太くん、見て!富士山っ!」

挿絵(By みてみん)

涼子の声が風を裂いた。

翔太は必死にハンドルを握りながら、ミラー越しに涼子の指差す方向をちらりと見る。

そこには、澄みきった青空を背に、完璧なシルエットの富士山がどーんとそびえていた。


「わっ……すげえ、ほんとに見えるんだ……しかもチャリンコで!」


ここは中央自動車道、甲府南ICを越えたあたり。

通常なら車の通るはずの車線を、あり得ない速度のチャリが爆走している。


前輪にはディスクブレーキ、後輪には滑り止めローター。フレームはアルミとカーボンのハイブリッド。そしてハンドルに鎮座する直径1メートルのパンプキンちゃん。


「翔太くーんこの先、右方向。運命の分かれ道だよ♡」


テレキネシスアシスト(by涼子)のPちゃんのナビ音声は涼子の生声。


「だからやめてそのボイスナビ! 不吉だって!」


「ふふっ、でも……翔太くんと走ると、富士山も近く感じるね♡」


涼子は背中にぴったり体を預け、風に揺れる髪を押さえながら微笑んだ。


——それはちょっと反則だろ、ってくらいの笑顔だった。


その瞬間、突風が吹いた。

Pちゃんは一瞬ぐらりと傾いたが、即座に涼子のテレキネシスが軌道を修正。


「涼子先輩っ! 本当にムリですからぁ!!!!」

Pちゃんから翔太の録音された声が自動で響く


でも、富士山は変わらずそこにいた。

昔から、ずっとそこにいたかのように。

たとえ魔改造チャリで高速道路をぶっ飛ばしていたとしても、

不思議と、すべてが自然に思える景色だった。


===================

【甲府到着・Yumiと再会】


午後の柔らかな日差しが甲府の街を包み始めたころ、Pちゃんはついに高速道路を降りた。


「た、た、助かった……一般道路ってだけですごくありがたい……」


翔太はふらふらの黒猫姿でハンドルにすがりつくようにしている。


「翔太くん、ちょっと男として情けないわよ?でもそのへなへな具合も……かわいい♡」


「そういうの今いらないですー!!」


初夏の甲府。

ちょうどよく乾いた風が、ブドウ畑の若葉を揺らし、どこまでも続く田畑の中にぽつんと小さな集落が点在している。


道端には、紫陽花がぽつぽつと咲き始め、吹き抜ける風がかすかに甘い匂いを運んでくる。

水田の水面には空が映り、風が渡るたびに青空がふるふると震えた。


「あ〜〜、気持ちいい……!」

後ろのタンデムシートから、涼子の声がのびやかに響く。

魔女っ子の濃紺のワンピに真っ赤な大きなリボン、そしてしゃべる黒猫翔太。そして新緑の街中を走るオレンジ色のPちゃんの異様なビジュアルに、人々の視線がまた集中する。だが、翔太の羞恥心はもう麻痺し始めていた。


そしてYumiの家の前——。


「あ、ついた……」


ぴたりとPちゃんを止めると、庭で遊んでいた蓮(Ren)君がポテポテと近づいてきて黒猫翔太の足にピトっとしがみつく。


Ren「しょーた!」


涼子「……あら♡Renくん、黒猫さんでも翔太くんのことわかるのね♡」


玄関の扉が開いた。そこに立っていたのはYumi。


「誰が来たのかと思ったら……まさか、あんたたちチャリで来るとは思わなかったよーw」


変わらぬ穏やかな笑顔、そして冷静なツッコミを内包した眼差し。


「Yumi!また来ちゃった♡」と涼子が手を振ると、Yumiも静かに手を振り返した。


「そのカボチャチャリ、どこから手に入れたの?」


「これは“パンプキンちゃん1号”っていうの。翔太くんの愛と汗と羞恥心が詰まった一台よ♡」


Yumiはしばらく沈黙し、そして——


「……あいかわらず、翔太は涼子にやられっぱなしってことか……こりゃきっと一生変わらんねw」


「うん、Yumiちゃんに開発してもらった大事な翔太くんを私が立派な夫に育てているのよ♡」


「翔太、元気そうでよかったよ。黒猫なのは、まあ、突っ込まないでおく」


翔太は照れ笑いしながら、「姉ちゃん……俺、涼子先輩とちゃんと(?)やってるよ……」


そのままYumiの家に招かれる二人。


——件のPちゃんは、Yumiの家のガレージに預けられ、後日談に続く伝説の移動手段となるのであった。


===================

【エピローグ:パンプキンちゃん1号のその後】


帰りは(翔太が)疲れたので電車で帰ることにした。


「ふぅ……Pちゃんに乗っていないだけで黒猫だけど恥ずかしさ半分……普通って最高……」


駅のベンチで黒猫姿のまま縮こまっていた翔太が、小さな声で呟く。


「まあ、恥ずかしさ半分なんてそんなにPちゃんが恋しいのね?翔太くん♡」


「そう言われてみればPちゃんがいないのがちょっと逆に寂しいかも…」


涼子はYumiに借りたコートを羽織ってはいるものの、下はまだ魔女っ子コスチュームのまま。


「でも翔太くんどうだった?今回の魔女っ子との勝負は、もちろん大人の魔女の私の勝ちよね♡」


「先輩に勝てるものなんかこの世にはいませんよ……だからもう、先輩の言うとおり魔女っ子といえど魔女は信じませんw……だけど今回わからなくなりました……先輩は超能力者なんですか?それとも本物の魔女なんですか?」


「ふふっ、私は翔太くん専属の魔女なのよ。あなただけの魔女♡」そう言って涼子はそっと翔太の頬にキスをする。


「なんかそれってすごい贅沢なことのように聞こえますよ、きっと涼子先輩が僕のロマンなんですね」と翔太は照れる。


車内では、の小学生たちに「ネコのお兄さん!写真撮ってー!」と囲まれる翔太。


その隣で、涼子は「うふふ、翔太くん大人気ね♡」と満足げ。


===================

そして数日後——。


YumiからLINEで一枚の写真が送られてきた。


そこには、晴天の中、甲府のぶどう畑をPちゃんで颯爽と走る男性の姿。


Yumiの夫、Markだった。


『このチャリ最高。サドルがなぜか超フィットする。—Mark』


「……なぜかオーストラリア人に気に入られてる……」と、翔太は小さく呟く。


「やったぁ♡Pちゃん、ちゃんとお嫁に行けたわね♡」と涼子は感動して目を潤ませていた。


かくして、伝説のパンプキンちゃん1号はその後も甲府の地で第二の人生(?)を歩むことになるのだった。


——おわり——


次回はついに涼子と翔太の会社名が明らかに、最終章へのプロローグ!

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