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彼女の○○がヤバすぎたので全部お任せしました  作者: バンディット
第2章 支配からの逃亡そして元の鞘
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第2章-EP02 涼子 vs. あかり——決戦の火蓋

【あかりは諦めていなかった。】


——涼子がただの「美人で魅力的な先輩」なら、ここまで引き下がるつもりはなかった。

——だが、彼女は何かがおかしい。

あの超常現象……まるで魔法みたいな力。

普通ならありえない。


(……翔太先輩、絶対に操られてる!!)


彼女は翔太を救い出すつもりだった。

そして、涼子と真正面から対決する日がやってきた——


【翔太をかけた女の戦い】


金曜日の夜、会社の飲み会の帰り道——。


「先輩、ちょっといいですか?」


あかりは人通りの少ない路地で、翔太を呼び止めた。


「え? 何?」

「あの……私、やっぱり先輩のことが好きです。」


ストレートな告白に、翔太は固まった。


「……あかり?」

「わかってます、涼子先輩がいることも。でも、あの人は……」


彼女が言いかけた瞬間——。

——ゴォォォォ……!!

突如、周囲の風がざわめき始めた。


「——おやおや。これはこれは。」


涼子が、そこにいた。

薄暗い街灯の下、涼子は美しく微笑んでいた。

しかし、その目は冷たく鋭い。

挿絵(By みてみん)

「まさか、また翔太くんを誘惑しようとしてるの?」


あかりは涼子に負けじと睨み返した。


「誘惑じゃありません。翔太先輩が本当に望んでいるのは、私かもしれませんから。」

「……ふふ、面白いことを言うのね。」


涼子はゆっくりとあかりに歩み寄る。


「あなた、私が何をしても翔太くんが私から離れないって、まだ分かってないの?」

「それは洗脳されてるからでしょう!? 先輩が使ってる‘力’で!!」


あかりの叫びに翔太は目を見開いた。


「えっ……?」


涼子の表情が一瞬、冷たくなる。


「へえ……何を知っているの?」

「見ましたよ、先輩の‘魔法’。あれ、絶対に普通じゃない。」

「……」

「翔太先輩を、あなたの‘力’で支配してるんでしょう?」


翔太は息を飲んだ。


「……ちょっと待って、あかり……?」

「先輩、目を覚ましてください! 先輩が本当に涼子先輩を好きなら、私は諦めます。でも、‘好きにさせられてる’だけなら、それは恋じゃない!!」


涼子は静かにあかりを見つめた。

そして、ゆっくりと微笑んだ。


「……いいわ。」

「……え?」

「そんなに私と翔太くんの‘愛’が本物じゃないって言うなら……確かめてみましょう?」


涼子が指をスッと動かすと、あかりの体がピタリと止まった。


「うっ……!?」


体が動かない。


「!?」


翔太が驚いて涼子を見る。


「……涼子!?」


涼子はそのまま、翔太の頬にそっと手を添えた。


「翔太くん、あなたは——私のこと、好き?」


甘い声が響く。


(……!!)


翔太の脳内に、快楽の波が押し寄せる。

涼子のホルモン操作が、彼の愛情をさらに高めていく。


——あかりの目の前で。


「う……うぅ……」


あかりは必死に抵抗しようとするが、涼子のテレキネシスで身動きが取れない。

翔太はうっとりと涼子を見つめ、すっと彼女の手を握りしめた。


「……好きだよ。すごく、すごく好き……!」


涼子は優しく微笑み、翔太の額にキスを落とした。


「ふふっ、よかった♡」


あかりの顔が絶望に染まる。


「そ、そんな……!!」


涼子は再び彼女に目を向け、微笑んだ。


「ねえ、結城さん。」

「……な、何よ……!」

「あなたには、翔太くんの愛は奪えないの。だって、私は‘彼のすべて’なんだから。」

「……!!」

「あなたはこれからも頑張るのかしら? それとも……諦める?」


あかりの瞳が揺れる。


(勝てない……この人には……!!)


そう悟った瞬間——。

フッ……

あかりの体が自由になった。

涼子が力を解いたのだ。


「……私の勝ち、ね?」


あかりは悔しさを滲ませながら、唇を噛んだ。


「……」


何も言えない。

涼子は満足げに翔太の腕を絡める。


「さあ、翔太くん。帰りましょう?」


翔太は、もうあかりに目を向けることはなかった。


「……うん。」


——こうして、あかりは完全に敗北した。


(……それでも、私は……)


あかりは去っていく翔太と涼子の後ろ姿を、悔しそうに見つめ続けたのだった——。


===================

【それでもあかりは諦めなかった。】


いや、諦められなかった。

(翔太先輩が‘本当に’涼子先輩を愛しているなら、それでいい。)

(でも、もし洗脳されているだけなら……私は先輩を取り戻す!!)

それが彼女の最後の望みだった。


再び翔太と二人きり——仕掛けられた罠

翌日、会社の休憩室。

「翔太先輩、ちょっと話があるんですけど……」

涼子が外回りに出ている間を狙って、あかりは翔太を呼び出した。


「……あかり?」


翔太は少しぼんやりした表情で、彼女を見つめる。

——それがすでに異常だった。

(涼子先輩といるときは、完全に彼女しか見えていない……)

(でも、今は少し‘普通の翔太先輩’に戻ってる。)

チャンスは今しかない。


「先輩、少しだけ私に付き合ってもらえませんか?」

「……?」


そして、あかりは翔太をある場所へと連れ出した。


【翔太の洗脳を解くための作戦】


彼女が翔太を連れてきたのは、会社から少し離れたカフェ。


「ここ、先輩が好きそうなチョコレートパフェが美味しいお店なんですよ。」

「……え? チョコ……?」


翔太の意識が少しだけ戻った。

——そうだ、自分は甘いものが好きだった。

——でも最近、それを考える余裕すらなかった気がする……


「ねえ、先輩。」

「……なに?」

「ちょっと、涼子先輩のことを考えずにいてもらえませんか?」

「は……?」

「今だけでいいです。私と過ごしてる間だけ、涼子先輩のことを考えないでください。」


翔太は困惑した。


「そんなの、無理だよ。」

「どうして?」

「……だって、涼子が……好きだから。」


そう言う翔太の目は、どこかぼんやりしていた。

あかりは確信した。


(やっぱり、これは‘普通の恋’じゃない……)

(翔太先輩は、自分で‘好き’だと思い込まされてるだけ……)


なら、どうすれば?

あかりは心を決めた。


(……ごめんなさい、先輩。でも、私がやるしかない。)


彼女は翔太の手をそっと握った。


「っ……!?」


翔太の肩がピクリと震える。


「大丈夫ですよ、これは‘ただの手’です。」

「……」

「涼子先輩に触られてるわけじゃない。私の手。」

「あかり……?」

「……感じてください。」


彼女は翔太の手を自分の頬に当てた。


「これは、‘あたたかい’ですよね?」

「……ああ。」

「……じゃあ、先輩が涼子先輩に触れたときは?」

「……」

「‘心地よく’て‘甘く’て……なんていうか、頭がぼーっとする感覚になりませんか?」


翔太の瞳が揺れる。


「……それは……」

「それが、涼子先輩の‘力’です。」

「!!」


あかりは真剣な表情で翔太を見つめる。


「今の先輩は、‘本当に’自分の意思で涼子先輩を好きなんですか?」


「……俺は……」


翔太の呼吸が乱れる。

彼の脳内で、何かが崩れ始めていた。


【翔太の意識が戻る瞬間】


——パリンッ!!

頭の中で、ガラスが割れるような音がした。


「……!!」


涼子の顔が、一瞬遠ざかる。

今まで涼子のことを考えると、それだけで幸せだった。

涼子の笑顔を見れば、それだけで満たされていた。

だが今、頭の中に霧がかかったようにぼんやりしていた感覚が、少しずつ晴れていく。


「俺は……」


——涼子に、支配されていた……?


「……」


翔太は、ハッと顔を上げた。


「——俺は……本当に、涼子先輩が好きだったのか……?」


その言葉を口にした瞬間、翔太の‘洗脳’が完全に解けた。


「……あ、あれ……?」


自分が今までどれだけ異常な精神状態だったか、理解する。

あかりが息をのむ。


(やった……!!)


翔太の瞳は、もう涼子の支配下にない。

——だが、その瞬間だった。


「おやおや。これは困ったわね。」


【涼子の逆襲】


カフェの入り口に、涼子が立っていた。


「!!」


涼子は優雅に微笑んでいる。

——が、目が笑っていない。


「……翔太くん?」

「り、涼子先輩……!?」


涼子はカツン、とヒールの音を鳴らしながらゆっくりと歩み寄る。


「あなた、少し‘余計なこと’を考えているみたいね。」

「……っ!!」


翔太は本能的に危険を感じた。

涼子の目が、獲物を捕らえた猛禽類のように光る。


「……ふふ、仕方ないわね。」


——翔太を再び、完全に支配するために。

涼子が、行動を開始する——。

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