第6章-EP18 美紀の家庭訪問(パート1)
【涼子からの甘いお誘い】
会社の帰り際。
涼子がにこやかに美紀に声をかけた。
「美紀ちゃん、次の週末って空いてる?よかったら、私の家に遊びに来ない?
一緒に食事でもどうかしら♡」
「え、ええのん!?ウチ、いつも家で本読んだりネット見たりしとるだけなんで、
全然オッケーや!……せやけどこの話、翔太先輩は……?」
涼子はニコッと微笑んだ。
「もちろん知ってるわよ。むしろ、彼が言い出したことなの♡」
——(※なお、この時点では翔太には何も伝えられていない)
「それなら、よろしゅうお願いいたします!楽しみやなぁ〜!!」
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【美紀の脳内オーバードライブ】
美紀は胸を高鳴らせながら考えていた。
(よっしゃあああ!翔太先輩の秘密に迫る大チャンス、願ったり叶ったりや!)
(……せやけど、涼子課長、"翔太くんが言い出した"って言っとったな。
ウチの動きに……気づいてる可能性あるんちゃうか?)
(それにな、あの秋葉原での翔太先輩暴走事件——
涼子課長の神対応、あれは並みの経験値やない……)
(翔太先輩のテレキネシスも実在するんやからもしや涼子課長、
異世界転生2〜3周目クリア済みで、
魔王の3体くらい倒してきたとか、そういう世界線なんちゃう!?)
(常識で考えたらあかん!ウチも腹をくくらな!!)
※ちなみに美紀はこの時点で、涼子には絶対に勝てないと、本能で悟っていた。
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【一方その頃、自宅の涼子と翔太】
その晩、自宅のソファー。
翔太がテレビを見ていると、涼子が後ろからギューッと抱きついてきた。
「ねえ翔太くん、今週末ね、美紀ちゃんがウチに遊びに来るって」
「えっ、そうなんですね!ウチに人が来るなんて初めてじゃないですか!?」
「うふふ、そうかもねー♡最近美紀ちゃんと仲良くなったから♪」
「え、なんかきっかけあったんですか?」
「んー、特にないよー。美紀ちゃん可愛いし、私と馬が合ったのかな?」
涼子は翔太にさらにギューっと甘える。
「でもね、翔太くん。美紀ちゃん、翔太くんと話すと緊張しちゃうみたいだから、
当日はただニコニコしてればいいのよ♡」
「え、そうなんですか!?(全然そんなふうに見えなかったけど……)」
翔太は不思議そうに首をかしげながら、
これから自分に何が待ち受けているのか、まだ知る由もなかった。