第3章-EP06 翔太出張、涼子の限界、そして大阪へ
【「涼子先輩、行ってきます!」】
新幹線の改札前で、翔太はキャリーバッグを片手に笑顔を向けた。
「……気をつけてね、翔太くん。」
涼子は微笑みながらも、その瞳にはわずかに寂しさが滲んでいる。
「1週間だけですよ? すぐ帰ってきます!」
「……うん。」
——だって、そんなに長く翔太くんと離れたことないのに……。
心の中で呟きながら、涼子は翔太を見送った。
【1日目~4日目:涼子の孤独】
翔太がいない部屋は、異様に広く感じた。
——「翔太くん、おはよう」
そう言う相手がいない朝。
——「翔太くん、ごはんよ♪」
隣で「うまっ!」と笑う顔が見られない食卓。
——「翔太くん、おやすみ♡」
返事のない夜。
(こんなの、耐えられるわけない……。)
涼子は毎晩、翔太とビデオ通話をしていたが、それだけでは埋められない喪失感が胸を締めつける。
【5日目:涼子、ついに限界】
「……もう無理!!!」
朝起きた瞬間、涼子はベッドの上で叫んだ。
翔太の声を聞いても、顔を見ても、触れられない日々が限界だった。
(こんなに寂しいなら……行くしかないわよね?)
——そうと決めたら行動は早い。
涼子は新幹線のチケットを即予約し、午前の便で大阪へ向かった。
「待っててね、翔太くん♡」
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【翔太、突然の再会】
大阪の出張先のホテルで、翔太は仕事を終え、部屋に戻ったところだった。
「ふぅ……あと2日か。」
涼子と離れて5日。
正直なところ、寂しくないと言えば嘘になる。
(東京に戻ったら、涼子先輩に思いっきり甘えよう。)
そんなことを考えていた、その時——。
コンコンッ
「え?」
部屋のドアがノックされた。
「……ルームサービス頼んでないけど?」
不思議に思いながらドアを開けると——。
「やっ♡ 来ちゃった♡」
「……えぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?!?」
そこには、満面の笑みを浮かべた涼子が立っていた。
「涼子先輩!? なんで!? 東京じゃ……!」
「んー、だって寂しかったんだもん♡ 翔太くんに会いたくて、我慢できなくなっちゃった♡」
涼子は無邪気に言いながら、ホテルの部屋にするりと入り込む。
「いや、ちょっと!? え!? どうやって!??」
「新幹線よ♪ ほら、もう5日も会ってないのよ? 私のこと忘れちゃいそうだった?」
「いや、それはないけど……!!」
「じゃあ、いいじゃない♡」
涼子はくるりと振り向き、ニコッと微笑む。
その笑顔を見た瞬間、翔太は悟った。
——あぁ、俺も本当は涼子先輩に会いたかったんだ。
「もう……本当に涼子先輩は……。」
「ふふっ、じゃあ翔太くん?」
「え?」
「おかえりのキス、してくれる?」
涼子が甘えるように首を傾げる。
翔太はもう何も言えなかった。
気がつけば、そっと涼子を抱きしめ、唇を重ねていた——。
(……やっぱり、涼子先輩がいないとダメだ。)
「はぁ……やっぱり涼子先輩が来てくれてよかった……。」
ホテルのベッドの上、翔太はぐったりと涼子の膝に頭を乗せていた。
「ふふっ♡ 翔太くん、やっぱり寂しかったでしょ?」
涼子は翔太の髪を優しく撫でながら、まるで子供をあやすように微笑む。
「……そりゃまあ、少しは……」
「素直じゃないわねぇ♪ でも、もう大丈夫よ♡ これからはずーっと一緒にいられるんだから。」
そう言いながら、涼子は翔太の頬を指でつつく。
「よしよし♡ 頑張った翔太くんにはご褒美あげなきゃね?」
「ご褒美?」
「そう♡ 私のなでなでと、ぎゅーっていう癒やしのフルコース♪」
涼子は翔太をふわっと抱きしめると、頭をポンポンと優しく撫でる。
「よしよし、翔太くんは本当に頑張り屋さんね♡ お仕事も、出張もえらいえらい♡」
「……子供扱いしないでくださいよ。」
「んふふっ、でも嬉しそうじゃない♡」
図星を突かれて、翔太はむくれたように顔をそむけるが、涼子の胸にすっぽり包まれたままでは逃げ場がない。
「はぁ……なんか、もうどうにでもなれって気分。」
「じゃあ、もっと甘えていいのよ♡」
涼子はゆっくりと翔太の背中を撫でながら、耳元でささやくように言った。
「こうやって、ぎゅーってしてたら安心するでしょ? 翔太くんはね、もっと私に甘えてもいいのよ?」
「……涼子先輩、やっぱりすごいですね。」
「ふふっ、何が?」
「俺のこと、全部わかってるみたいで。」
「当たり前じゃない♡ 私は翔太くんのすべてを知り尽くしてるんだから。」
「……なら、もう全部委ねてもいいですか?」
翔太はそっと涼子の腰に腕を回し、ぎゅっと抱きしめた。
「もちろん♡ ほら、おいで♪」
涼子はにっこり微笑みながら、翔太を包み込むように抱きしめる。
「んふふ、可愛い翔太くん♡ ずーっとこうしててあげるから、安心してね?」
その夜、大阪のホテルの一室には、涼子の甘やかしと、翔太の幸福に満ちた寝息が響いていた——。




