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第3章-EP04 会社の飲み会——翔太に迫る影

【涼子と翔太が同棲を始めて数ヶ月。】


会社では公にはしていないものの、翔太は完全に涼子の支配下にあった。

涼子が超能力で甘やかし、支配し、愛し尽くす日々。

そして、そんな涼子に翔太はメロメロだった。


——そんな中、会社の飲み会が開かれた。


居酒屋の個室に集まる社員たち。

上司がジョッキを掲げ、皆が乾杯の音頭をとると、一気に賑やかな雰囲気になる。

翔太は、そんな場の空気に少し緊張しつつも、隣にいる涼子をちらりと見た。


「……涼子先輩、飲みすぎないでくださいね?」

「ふふっ、大丈夫よ、翔太くんこそ飲みすぎないでね♡」


そう言って涼子は微笑む。

が、その視線にはしっかりとした「監視」の色が混じっていた。


(……今日は翔太くんのこと、ちゃんと見ておかないとね♡)


涼子の予感は、すぐに的中することとなる。


【迫る誘惑】


「翔太くん、こっちこっち!」


涼子が別の部署の社員と談笑している隙に、翔太は同じチームの後輩女子・桜井奈々に絡まれていた。

彼女は翔太より一つ年下の可愛らしい女性社員で、社内でも人気のある存在だった。


「翔太くん、隣いいかな?」と奈々は堀ごたつのテーブルで翔太の脇に座る。

「……あ、桜井さん?」

「えへへ、翔太くんさぁ、今日いつもよりかっこいいね! 仕事終わりのスーツ姿、結構好きかも♡」

「そ、そう? ありがとう……」


翔太が曖昧に微笑むと、奈々は大胆に距離を詰め、肩にそっと手を置いた。


「ねぇ、もっと飲んじゃいなよー! ほら、私が注いであげる!」

「いや、でも……あんまり飲みすぎると……」

「大丈夫だよ〜! 今日はみんなで楽しむ日でしょ? ほら、カンパーイ♡」


奈々は翔太のジョッキを自分のグラスに当て、ぐいっと飲み干す。

翔太もつられて飲むが、彼の頭にはひとつのことがよぎっていた。


(……やばい、涼子先輩にバレたら……)


翔太がそっと涼子の方を伺うと——

その瞬間、彼は背筋が凍った。


【涼子、監視中】


個室の奥、他の社員と談笑しているはずの涼子。

しかし、彼女はしっかりと翔太を見ていた。

しかも、にっこり微笑んだまま、視線だけが冷たい。


(あ……これ、絶対怒ってるやつだ……)


翔太は冷や汗をかいた。

だが、奈々はそんなことには気づかず、さらに大胆になっていく。


「ねぇねぇ翔太くん、私たちって結構相性いいと思わない?」

「え……いや、えっと……」

「だってさ、仕事でも息ピッタリじゃん? もしかして、運命の人だったりして……♡」


奈々はそう言うと、翔太の腕にぎゅっとしがみついた。

その瞬間——


【涼子、動く】


「あら? 何してるのかしら?」


背筋が凍るような、甘く冷たい声。

翔太がビクッとする。

奈々もハッとして振り向くと——

そこには、美しい笑顔の涼子がいた。


「涼子先輩……?」

「桜井さん、そんなに翔太くんと仲良しだったのね。知らなかったわ〜♡」


涼子の表情は、にこやかだった。

しかし、その目は……まったく笑っていない。

翔太は思わずごくりと唾を飲み込む。


(終わった……)


「あれれ?翔太君、桜井さん、ちょっとこのスプーン見て!」


と涼子はテーブルに置かれたスプーンをそっと指でつまんで二人の前に、翔太と奈々の顔が映るスプーンの背。


——ギギギ……メキメキ……ッ!!!


涼子が微笑むと、スプーンがゆっくりと、根本からすごい力でゆっくりと捻じれていき、最後にスプーンの頭の部分がコロンと取れて翔太と奈々の間に転がった。

挿絵(By みてみん)

「……え? ええっ!? す、スプーンが……!!?」


奈々が驚いて翔太の手を離す。


「いやだわ、このスプーン腐っていたのかしら?お店の人に変えてもらわなきゃね♡」


と涼子が言った瞬間に奈々の体はスッと浮き上がって翔太から離れ、一座席分向こうへ移動されてしまった。


「……あれ、どうして私!!?」


驚く奈々をしり目に涼子はテーブルをふわっと飛び越えて翔太の隣に座り、腕を絡めた。


「翔太くん♡ 飲みすぎないように気をつけなきゃダメよ?」

「あ、はい……涼子先輩……」


涼子は甘えたように翔太の肩に寄りかかる。

が、その力は異様に強く、翔太は逃げられない。


「桜井さんも、お酒の飲みすぎには気をつけてね?」

「は、はい……!」


奈々は青ざめ、すぐに二人から距離を取った。


【勝者・涼子】


その後、飲み会は何事もなかったかのように進行した。

しかし、翔太は終始ガチガチに緊張していた。


飲み会が終わり、帰り道——


「……涼子先輩、怒ってます?」


翔太が恐る恐る尋ねると、涼子は微笑んだ。


「んー? 怒ってないわよ?」

「……ほんとですか?」

「ただ、翔太くんが……私以外の女の子に気を取られないように、もうちょっとお仕置きが必要かもね♡」


翔太は背筋がゾクリとする。


(やばい……また何かされる……)


しかし、涼子の腕の中にいると、不思議と安心感と心地よさも感じるのだった。

こうして、翔太はまたしても涼子の支配を再確認する夜となった——。


「えっ……」

お仕置き——!?

翔太は背筋がゾクリとする。

しかし、次の瞬間、涼子の指が彼の頬にそっと触れた。


「はい、これで完了♡」

「……な、何を……?」


涼子は悪戯っぽく微笑むだけで、何も教えてくれない。

しかし、翔太は翌朝、自分に起こった異変に気づくことになる——。

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