双重卦──水雷連鳴、鏡成刃
【遊人side】──双重卦・共鳴解放ッ!
「一、二、三……で行くぞ」
蓮がそう言うなり、
俺は、即答で──
「了解!」
「いち、に、さぁぁぁぁぁんッ!!」
その声に合わせて──
蓮の左側に、水の穴が、ぱぁんっと開いた!
俺の雷鞭は、それとピタリとリンクして──
雷の輪を描きながら、渦を作る!
雷と水の陣形が、完全に重なった。
その瞬間。
水龍剣と、俺の禁鞭が、
――共鳴した。
音が、爆ぜた。
まるで、大地を震わすような……
海を割るような……
鐘の音。
(ティダが言ってたやつ……!)
(これが、古代の《重卦》──)
(ふたりの術が組み合わさった、複合卦技!)
水の壁が、電気を帯びる。
水温が一気に跳ね上がり、
紅く釉がかったような波が──
広がった。
ゾンビの群れが、一斉に焼かれ、
ビリビリと感電し、
そのまま、バタンと──
植物人間みたいに、ピクリとも動かなくなる!
「今だ」
蓮の声が響く。
「《水四式・進化展開》!」
「波が水を成し、雷が柵となり──」
「鏡の一点より、四方に楓が舞う!」
詩のような言葉が、
蓮の剣先から紡がれる。
水壁がさらに広がり、
俺を中心に、
紅葉色の八方形の波が、
海のようにゾンビを呑み込む!
そのまま、水泥の壁まで、
ドシャァンとぶっ飛ばすッ!!
「易経によれば──」
蓮が横目で俺に言う。
「俺たち、八人の力を組み合わせれば」
「六十四の戦術が可能らしい」
「やっぱ、合体技のほうが便利だな」
「おまえが“屠城の夜”にいたら──」
「佛城は、落ちなかったかもな」
(……言ってくれるね)
「もっとやれる?」
俺は言った。
「《水五式――破鏡懸剣》!」
空気の中に──
無数の“鏡の欠片”が浮かび上がる。
蓮が、くるりと体を回し、
剣を引き──そして、斬る!
鏡片が、バラバラに砕け、
空中に──“刃”を放った!
千の剣。
それぞれが、別々の角度から、
ゾンビの首へ、ズバズバズバッと、突き刺さる!
「ズルいぞ、おまえら!」
霊狩の声が響いた。
「それ、“水と雷の《屯卦》”の剣技じゃねぇか!」
こっちを睨みながら、
「おい、てめぇもだ!」
「おまえの親父だって、二対一なんかしなかったぞッ!!」
吠えた霊狩が──
そのまま、後ろの空き瓶を俺に投げた!
カランッと音が響く中──
自分の腕を、バクリと噛みちぎる!
ボコッ!
一気に、身体が膨張する!!
──数秒で、
五メートル近い、巨体のゾンビに変貌した!
変身した霊狩が、
狙うのは──蓮!
ブンッ!
肘打ちが、首元をかすめる!!
だが、蓮は……すでに消えていた。
(さすが……!)
(動きも読みも、やっぱバケモン級!)




