魔法陣 × 世界災難 × 奇妙なキャンパスライフ
「北の国の都市は放射能に汚染され、人が住める場所ではなくなった」
政府がそう発表してから、数十年。
その街は、誰も立ち入らぬ廃墟と化した。
──だが。
時は経ち、状況は一変する。
新たなる《主狩が、この世界に生を受けた。
ヤツは再び人類世界に混乱をもたらすべく、
新たな《九狩》を集め、
かつての北の都市の廃墟へと向かう──。
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「歴代と前代《主狩》の記憶は、すべて継承した……」
静かに雪を踏みしめ、《主狩》は呟く。
「懐かしいな、この雪の街。変わっていない。あの時のままだ」
「新任の《主狩》からお聞きしておりました。しかし……
あの時のことがあるせいか、《靈狩》は今回の作戦に加わらないそうです」
「気にするな。今の俺たちは、新たなる者たちだ」
主狩は静かに微笑む。
「ヤツがいようがいまいが、《九狩》の一員であることに変わりはない」
「しかし、それでもあと二人、足りません」
「問題ない。今は三人不足しているが、第六の者を見つけた」
「……これで魔法陣は発動できる。残りのことは後で考えればいい」
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吹雪が舞い散る夜。
旧北国の広場の中心。
地面には、巨大な六芒星が刻まれていた。
六つの頂点には、それぞれ一本ずつ白い蝋燭が灯されている。
六つの影が、それぞれの位置に静かに立ち尽くす。
ただ、一人。
《主狩》だけが、六芒星の中心に立つ。
彼らは、ある儀式を執り行っていた。
やがて。
地球の軌跡と空間が、彼らの意思に呼応し、少しずつ歪み始める。
──ただし。
それに気付ける者は、この世界に《狩》の十人を除いて、
誰一人としていなかった。