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出発!


夏休みに入り、今日は旅行の日。

集合は9時に駅前集合と決めていた。

そして現在時刻9時。


お決まりだがこういうときは遅刻してくる奴が必ずいるもんだ。

今、駅前には俺・健太・麻衣・美鈴の4人……


「お約束すぎるな」


亮・奈美の2人は遅刻。

俺は奈美に連絡するよう麻衣に言うと俺は携帯を取り出し亮に連絡する。

コール数回でつながる。


「あと1分できやがれ。こなかったらおいていく」


「ちょ、待って~。これには色々とふか~い訳が……」


「問答無用」


俺は電話を切ると一つ溜息。

亮ってしっかりしてるようで意外と抜けているところがあるな。


「奈美ちゃんはもうすぐ着くって」


「そうか。まぁ車でいくからそんなに急いでいるわけじゃないしな」


駅前集合だから電車だと思っていたが、俺たちの目の前には高級車が1台。

美鈴の家の車だ。

リムジンですよ。びっくりですよ。美鈴って本当にお嬢様だったのか。



5分後、奈美が到着。


「とりあえず、言い訳でも聞いておくか」


「楽しみで色々と考えてたら眠れなくて、気が付いたら眠ってて、寝坊しました。だってだって~祐君と一緒の旅行なんだもん!あんなことや、こ~んなことが起きたりしたらって思うと……えへへへへ」


あんなことやこんなことって……

それにそのにやけた笑いはやめろ。なに考えてんだ。


さらに5分後、亮が到着。

着いた早々に言い訳を始める。


「いや~実は朝から妹に泣きつかれてね~。お兄ちゃん行かないで!なんて言われたら行くわけにもいかないからしばらくお話してたらいつの間にか時間がたっててなんとか妹を説得してたわけですよ」


………………


「お前、シスコンだったのか」


「違う!俺は断じて違う!妹のほうがブラコンなんだよ!」


そんなことどうでもいい。

とりあえず遅刻の罰として、亮と奈美には旅行先で色々と働いてもらおう。


とりあえず集まったし、車に乗りこむ。

高級リムジンとあって、席は向かい合わせになっている。

始めてみたよ……

男と女で別れて座ると思っていた。

が、女の子3人はなにやら話していてまだ車に乗っていない。

なに話してるんだ?

話が終わったかと思うと男3人座っているほうの席に奈美がやってきて


「祐君はそっち」


と、逆側の席を機嫌悪そうに指差している。

言われたまま逆側の席に座ると、その両サイドに麻衣と美鈴が座る。

言われなくてもわかった。

俺の隣に座りたい、ということでさっき話をしていたと。

そしてその権利を取ったのが麻衣と美鈴。

普通に考えて奈美は遅刻してきたからという理由ではずされたのだろう。

奈美は不機嫌そうだが麻衣と美鈴はうれしそう。


そんなこともあったが無事出発。

なにごともなく目的地に到着すると思っていたが……

考えは甘かった。


席は結構ひろくて、3人座っていても余裕があった。

しかし、右側にいる麻衣も左側にいる美鈴も俺のほうに寄っている。

車内はエアコンが効いているから暑くはないが、これはまずい。

車が左右に振られるたびに、体が当たってくる。

女の子特有のいい匂いもプラスされてちょっとした我慢大会。

いや~息子が元気になっちゃうよ。

それに今走っている道。

山道だから左右に振られることが多い。

いやけっして胸とかが当たっているわけじゃないよ?

それでも俺には免疫というものがあまりないのだよ。

わかる?わかってくれるあなたは同士だ!!


そんなとき、急に勢いよく車が右に曲がる。

俺たちの体は流れ、俺の体は左に流される。

左側には美鈴。

このままだとぶつかってしまう!ということで俺は足を踏ん張って耐えた。

しかし、右側の麻衣はいきおいよく俺のほうに向かってくる。

結果的に俺は麻衣を抱きとめる形になった。

車が曲がるのを終わると俺たちは体勢を戻す。

しかし麻衣は俺から離れない。


「どうした?どこか痛めたか?」


心配して聞いたが麻衣は逆にうれしそうな顔。


「祐二君に抱きしめられちゃった~」


抱きしめていません。いや、この状況は抱きしめているようなもんか。


「とりあえず、離れてくれない?」


「ん~もうちょっと……」


いやいやいや、離れて下さい。わざとかどうか知りませんが胸が当たって……

やばい、息子が元気になっちゃう!

俺はぐいっと麻衣を押し戻す。

不満そうな顔をしていたが、思い出してはにやにやと笑っている。

すると左側の美鈴は急に俺の腕に抱きついてきた。


「私に触れるのは嫌ですか……?」


いやいやいやいや、なにを言っているんですかあなたは。

どうやら流されないように踏ん張ったことが勘違いさせているようだ。

つーか美鈴さん?腕に胸が当たってますよ?

そんなことされたら息子が元気になっちゃうって!


「嫌とかじゃなくて、いきおいがあったからぶつかって怪我でもしたら」


「怪我しても、祐二さんだったら……」


「え?」


最後のほうは声が小さくて聞き取れなかった。

美鈴は俺の腕を離すと笑って「冗談です」なんて言った。


奈美は終始不機嫌そう。一人でぶ~ぶ~言ってる。


なんだか疲れる……

移動だけでこれだけ疲れてちゃこの後どうなるんだ?

楽しみだった旅行が少し不安になってきたぞ……




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