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「   悪   」  作者: 774
第3章
3/3

新たな依頼

また別の依頼がきた。

今回はいじめによる自殺をしてしまった娘の母親からの依頼。

昨今スマホのメッセージアプリが浸透しだしてからより一層増えた気がする。

いじめ問題は改善もされず日に日に悪化していて、いじめられる方が悪いみたいな認識や風潮もあった。

スマホやガラケー流行りだす前からもいじめは横行していて、中学や高校などの集団で集まる場所には特にいじめが多い。

今回の依頼人は

県立の高校に通っていた、大月おおつき 笹子ささこ 十七歳。の母親。


高校二年の夏休み入る前の六月十五日 彼女は自分の部屋で睡眠薬の大量摂取による痙攣しショック死での自殺だ。

 なんで自殺が分かったかというと彼女が日記を毎日つけていた。

最初は高校に入ってやりたい事とか、高校入学してから入ってみたい部活など楽しい高校生活が1年間分書いてあった。

まずは友達を作る。実は大月笹子は中学の時は地味な感じで、友達といえる人がいなかった。

周囲からは浮いている存在だったが、特にいじめをされる様な事はなかった。

中学校自体が女子校だったからだ。

成績はよかったし、小学校の皆勤もあり、礼儀などはとてもきちんとしていたから、学校側も特に意識もかたむける事なく、模範となる生徒だったのでいじめなどは起きず、学校としてはあまりいじめ問題に意識をしているような学校ではなかった。


高校は共学の学校に入学。笹子は高校で新しくお友達や恋愛などもしてみたいと日記に書いてあった。

友達とごはん食べに行ったりお出かけもしてみたかった。家の近くの高校に入学。

笹子は成績がよく高校も近くの高校ではなく、偏差値も高い学校の方がいいと先生に勧められたが、笹子は通うのに大変なとこを偏差値高い学校だと勉強に集中してしまい、友達作る事や恋愛もできなくなってしまうのは嫌だった。

笹子は恋愛に関して夢があり、制服デートしてみたかったのだ。


この学校でいじめが起きた。それはホント些細なこと。

成績が毎回よくて模範となる生徒として掲げられる事があるので、ちょっと悪さがあると何かしら模範生徒として、取り上げられる。

しかし今回はその模範生徒として見本として職員室に呼ばれ、先生に反抗もできず仕方なく行ったら、1人の生徒が担任教師に呼ばれていた。

クラスでそこそこ人気のある女子学生。友達も多く、男子学生にも好かれている生徒。


本栖もとす 夏鈴かりん。少し髪の色が明るく、スカートもやや短め。

笹子にとっては可愛らしく、常に輪の中心にいる事にちょっと憧れもあった。

「大月は模範となる制服の着用をしているから、見本にして、制服の身だしなみを整えてきて。」担任の本吉もとよし 謙太郎けんたろう顧問はバスケ部。専攻は歴史・社会担当だ。熱血指導ではないが、生徒の制服の規律や髪型の生徒指導もしてる。

笹子はあまり自己主張が強くないため、先生に頼まれたので仕方なく引き受けたが内心はとても面倒だなと思っていた。

本栖は「はーい」と言いながら髪直したり、スカート直したりしながら、笹子の方をちらちら見ていた。

職員室出てから本栖は笹子に声かけた。

「大月さんって成績もよくて、先生からの評判もいいよね。」

「そんなことないよ。本栖さんみんなと仲いいし可愛いし、きれいだなって思ってました。」

「そう?ありがとう。大月さんってちゃんと見てるんだね。凄い事だよ。」

「そんな事ないです。」

「とりあえず制服の件は大月さんと一緒にいれば問題ないかな。今のところ直す予定ないし。」とボソッと呟く。

本栖と大月は渡り廊下で別れた。大月にとって本栖と話せた事は正直嬉しかった。

可愛いなとか憧れていたりしていて、何度も見ていたりすれ違う時にも今日も可愛い髪型しているなとか思ったりしていた。


それから何回か本栖が笹子と一緒にいる事が増えた。

本栖が笹子に気になっていた事を聞いてみた。

 「大月さんってなんでいつも敬語なの?タメなんだし、同じクラスなんだし、敬語使わなくてもいいのに。」

 「先生とかと話したりとかする機会多いですし、友達いないから時に話す時は敬語で話すことが主になってからあんまり意識してなかったです。」

「そうなんだ~。じゃあ私といる時、敬語外して話してみなよ。友達だと思って。」

「でもいきなりはちょっと難しいから少しづづでもいいかな?」

「全然大丈夫。」

じゃと手を振り、本栖は友達と一緒に帰宅していった。


「ただいま。」

「おかえりなさい。学校どうだった?」

「普通だよ。ちゃんと勉強もしてるよ。」

「そうなら良かった。友達はできた?」

「とくには。着替えてくるね。」そう言って笹子は部屋に着替えと、カバンを置きにいった。

家族で夕食を食べて団欒して、お風呂も入り、あとは寝るだけ。

自分の部屋に戻ってきた笹子は日記を書いた。


―202x 〇月〇日 今日は職員室に呼ばれた。何か問題でもあったかな。

何かしていたらどうしようと思いながら職員室に向かう。そこには、本栖さんがいた。

なんで?と思ったら正しい制服の着方をしているから見本になるようにとの事で呼ばれたらしい。

正直面倒だなとは思った。

そのきっかけがあったから本栖さんとお話できた。

可愛いなを思っていたし、正直話せて嬉しかった。

少しずつだけど本栖さんとは友達になりたいから敬語じゃなくてもいいかなって思った。とにかく嬉しかった。―

ペンを置いて日記を閉じる。

「おやすみなさい」

そういって眠りにつく。


朝目覚ましにて起きる。カーテン開けて日差し浴びて、「うーん」と伸びをする。

パジャマのまま階段降りてリビングへ。

「おはよう。」

母に向かっていうと、いつもの笑顔でおはようと返してくれた。

母は料理が好きで、いつも楽しそうに作っている。

父はそれを見ながら幸せそうに微笑みながら、新聞を読んでいた。

父からも「おはよう」と返事かえってきた。

母は毎日朝早くからお父さんを私の分のお弁当を作って準備してくれていて、その傍ら朝ごはんも作っている。

鼻歌歌いながら作っている時もある。

笹子はその風景を見ていると幸せな気分になる。

母は週に3回ほど近所のスーパーでパートをしている。廃棄や賞味期限近いものなどフードロスになりそうな食材をよく買って料理してくれている。

母自身、もったいない精神もあるのだが、フードロスの食材を使って美味しく食べきることを楽しんでいる様子。笹子もその母親を見てきたから食品ロスやフードロスで賞味期限近くて廃棄されそうなものやお値引きになっているものを積極的に買う事にしている。


「今日は朝からフレンチトーストだって。楽しそうに話していたよ。」

「そうなんだ。」

母が用意してくれていたお弁当をバックにいれて、椅子に座ると、タイミングよくフレンチトーストが置かれた。


「いただきます。」

いつものように手を合わせてから、食べる。

甘い香りのメープルシロップがいい味をだしている。ふわふわでいい焼き加減。

母においしいと伝えると幸せそうな笑顔がかえってくる。


牛乳飲みながら、テレビに視線を向ける。

我が家はテレビをいつもながしているが必ず天気の部分ではみんな注目する。

今日は曇りのうち雨の予報で折り畳み傘があるといいといっていた。

笹子は常にカバンに折り畳み傘が入っている。何があってもいいようにと事前にいつも入っている。

母が誕生日プレゼントに買ってくれた。

濃い色の青にリボンがついているシンプルなもの。

笹子はとても気に入っている。


笹子は折り畳み傘が入っているバックを手にして、家を出た。

空は曇り、雨が降りそうな匂いが漂っていた。彼女はいつものように駅まで歩いていた。

今日学校行けば明日は休み。

学校にいく途中、彼女は小さなカフェを見つけた。

ガラス窓越しに、暖かそうな灯りが灯っているのが見えた。

おもわず入りたくなったが今日は学校だから、夕方また通ってみようと思い学校へ向かった。


----

学校が終わり、いつもの帰宅途中。

小さなカフェの道を通った朝。気になっていたので笹子は迷わず中に入った。

カウンターに座った彼女は、メニューを眺めた。紅茶とケーキがいいな、と思った。

お値段はケーキセットで500円を学生にはお手頃な値段だった。

ケーキは種類はそんなに多くないがお手製のものが多い。

パウンドケーキ、チョコケーキ、チーズケーキ、ショートケーキ。

飲み物のコーヒー、紅茶、オレンジ、リンゴ。

数はそんなに多くないが、外観から感じる温かみがある雰囲気と、中に入ると穏やかなオルゴール調の音楽。高そうな雰囲気だけど比較的お手頃な値段設定でBGMはオルゴールだった。

とても癒される空間。


すると、隣の席に座っていた男性が声をかけてきた。

「雨が降りそうですね。」

笹子は驚いた。

彼女は初対面の人と話すのが苦手だった。

しかし、男性は優しそうな笑顔で話しかけてきた。

笹子は緊張していた。

普段男性と喋るのは学校の先生だけだったから。

でも本栖さんと少しずつ仲良くなれて嬉しかったし、私も少し変わりたいと思っていたから、話してみようとおもった。

「はい、そうですね。」

男性は名前を伝えた。

「僕は上代大樹かみしろだいき。君の名前は?」

笹子は緊張しながら答えた。

「私は大月笹子です。」

他愛のない話を話し、少しずつお互いの事を知っていった。


雨が降り始めた。ホントはも少し滞在する予定だったが、家に帰って勉強しなきゃいけないので帰る事にした。

その日から、二人は何回か定期的に同じカフェで会うようになった。

特に連絡は取りあうようなことはなかったが、同じタイミングだったり、時間が少し違ったりするが、会うタイミングが増えた。

笹子と大樹はカフェで過ごす日が増えて、お互い、日常の事や学校の話などの話をすることが楽しく、笹子は笑って話したりする機会が増えて、そのころには笹子は人見知りなどしなくなったので、会う事が楽しみになってきた。


しかし、笹子の幸せは長くは続きませんでした。


彼女は学校でいじめを受けるようになりました。

同級生たちは彼女をからかい、陰湿な嫌がらせを繰り返しました。

カバンを隠したり、無視したり、笹子は心身ともに追い詰められ、ついには自殺を考えるようになりました。


実は笹子が話していた、大樹は実は本栖が気になっていた人。

学校に行くときに何度かすれ違ったり、バスであったりして、日常の会話を挨拶ぐらいの顔見知り程度だが、本栖にとっては気になる人だった。






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