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4.恋人って

恋人ってなんだ?何をすればいいんだ。というか、友達じゃないのか。やはり、私は友達が出来ないんだろうか。そう思った。それで九条さん、彼女は私にどうしてほしいのか教えてくれたわけで。私はそれにどう答えを出さないといけないかと思った。断るのか、それとも受け入れるのか。恋愛とか知らないし、好きな人が出来たことがない。というか、それ以下のことが出来てない私が恋愛なんて出来るわけがない。だけど、いい機会かもしれない。この人は凄く稀。レアだと思う。こんな私が好きとか言ってくる人はもう二度と現れないだろう、だからこの際、付き合うってことを経験してみてもいいんじゃないだろうか。どうせ、私には許嫁がいるらしいし…。顔も名前も知らない人だけど。折角高校生になったんだし。色々経験出来るのであれば、してみてもいいんじゃないだろうか、恋愛経験というものを。そう思った。


「わかりました。お付き合いしましょう。こんな私でよければ」

「え!ほんとですか?いいんですか?嬉しい!私こそ宜しくお願いします!!」


彼女は涙を流しながら嬉しそうに笑った。この子可愛いよな。それにいい匂いするし。私とはまったく違う人だと思う。こんな私に彼女は釣り合うのだろうか。そう思った。


一時間程喫茶店で過ごした後、お互いの連絡先を交換してそれぞれ別れた。帰り道私は改めて知らない女の子に告白されて、興味本位というとても不純な気持ちで付き合うことになったことを考えていた。今まで友達もいなかった私が恋人関係になる人が出来たとは。あまりに唐突な話で明日になったら嘘でしたってなるんじゃないかと思った。まるでリアリティがない。これ以上考えてもどうしようもない。私は自宅についてお母さまや使用人の璃子さんに挨拶をしてから自室へと戻った。制服から普段着に着替える。制服はしわにならないようにハンガーにかけて、消臭剤を吹きかけておく。明日の学校の準備を済ませた後、読み途中だった本を手に取り読み始めた。30分くらいたっただろうか。携帯に着信音が鳴った。私に連絡してくる人はほぼ家族くらい。そもそも家族以外の人に教えたことはない。もしかしたら九条さん、そう思って携帯の画面を見ると予想通りだった。


「はい。もしもし」


不愛想な言い方だったと思う。私としてはこれが普通なのだが、時々お母様に暗いからもっと愛想よく出れないのかと注意されるほどだ。九条さんにも同じ印象を与えてしまっただろうか。


「あ、もしもし!く、九条です。今お時間よろしいでしょうか?」

「あ、はい。何でしょう?」

「あ、あのっ!き、今日のことって本当にお付き合いするってことで、よろしいんですよね?」

「ええ。まぁ、そうなりますね。それがどうかしましたか?」

「いえ、ちょっと信じられなくなって、不安になっちゃって…。それで確かめようと、思い切って電話してしまいました。ごめんなさい」


ああ、そういうことか。私と一緒、ではないだろうが、九条さんも現実感がなかったから、か…。こういう時、どう答えてあげれば相手を不安にさせないでおくんだろう。これから外でもう一回会って話をしたほうがいいのか。それとも、世間話でもして、というか、世間話私にはでき増もないな。あとは…、うーん、何をしたらいいのかわからない。沈黙が続いていると、九条さんが痺れをきらしたのか、話始めた。


「あ、あのっ。明日また学校が終わったら、どこかに行きませんか?私いい雰囲気の喫茶店知ってるんです。学校からも近いですし」


うん、まぁ、いいけど。一応お母様には報告したほうがいい案件だ。


「はい。行きましょう。楽しみです」

「はいっ。私も楽しみです」


九条さんが浮ついた声でそういった。私はわざと楽しみだと言ってみたんだけれど、そういう反応するんだなぁって思った。それから九条さんが一方的に自己紹介をし始めたので、私は相槌を打ちながら話を聞いた後、電話を切った。明日は九条さんとデート?なんだろうか。太陽が沈み、部屋が暗くなり始めたので照明をつけ、夕飯までの時間、再び読書を始めた。


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