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24.楽しかった兄妹の時間

めぐみさんたちの少し距離を置いてベンチに腰を落とした。

チラ見しながら相手の男性のことを見ていた。

私ってこんなにも嫉妬深い女なの。

これじゃ、隠れてこそこそしている卑怯者じゃない。


いやっぱりちゃんと声をかけて確認するべきじゃないかしら。

そうよ、そうしないとダメだわ。

自分自身で葛藤して勇気を出してめぐみさんのことろへ向かった。


勿論従妹も一緒に。


「あの…めぐちゃん、よね?」


胸のドキドキが止まらない。

周囲に聞こえてしまうくらい大きな音がとても恥ずかしい。

めぐみさんの顔を見ると彼女が驚いた表情をしていたのが分かった。


何でここに私がいるのかと思っているに違いない。

偶々なんだと早く伝えなきゃ。


「あいちゃん?どうしてここに?」

「あ…今日は偶々この子と一緒に来たの」

「そうなんだ。私は」


めぐみさんの口元を手で塞ぐ男性。

その行動にとても驚いていためぐみさん。

どういう関係なのか知りたい。

相手の男性を凝視してしまった。


「めぐみさん。こちらの女性は誰ですか?」

「こちらの方は学校のお友達です。お名前は九条愛衣さんです。あいちゃん、こちらの男性は」

「おっと。めぐみさん。僕から説明させてください。九条愛衣さん。僕はめぐみさんの兄です。いつもめぐみさんと仲良くしてくれて有難うございます。今後ともめぐみさんと仲良くしてあげてくださいね」


そう言って笑顔がとても爽やか。

めぐみさんのお兄さんだったんだ。

でも全然めぐみさんと似てない、そう思った。


「こちらこそ。初めまして。これからも仲良くさせて頂きます」


なんか日本語おかしいと思いながらも深々と頭を下げた。

胸にあったもやもやが一気に晴れていくのが分かる。

はぁ~、とても清々しい気分。

めぐみさんを少しでも疑ってしまって御免なさい。


本当にダメな彼女です、私は…。


…………★……………




突然現れたあいちゃん。

私はビックリしてしまった。

とりあえず兄様のことを紹介しよう。

そう思って兄様のことを伝えようとすると兄様が私の口を塞いだ。


どうやらご自身でご挨拶したいとのことだった。

私は黙って兄様とあいちゃんのやり取りを見守った。

兄様の丁寧な口調と笑顔を振りまく姿はすごく綺麗だと思ってしまう。


「めぐみさん。もうすぐショー始まります。お友達と一緒に見ましょうか」

「はい。あいちゃん達もこちらにどうぞ」

「有難う、めぐちゃん。お邪魔するね」


兄様と私が座りその隣に彼女、彼女の隣に小さな女の子が座った。

イルカショーが始まった。

観覧席からは拍手と大きな歓声が聞こえる。

私もショーに見入ってしまった。

とっても高くジャンプするイルカたち。

調教師とのコンビネーションは素敵だと思った。


終盤になった時、隣に座っていた彼女が私の手をそっと握りしめた。

驚いた私は彼女の顔を見た。

彼女はショーに視線を向けていた。

私も何もなかったかのようにショーに視線を戻した。


ショーが終わると私と兄様、それに彼女たちと残りの順路を回ることになった。

外のエリアではペンギンたちのお散歩が見れた。

最後はお土産コーナーと軽食が食べれるエリアに着いた。


「お腹好いてないですか?めぐみさん」

「そういえば…。何か食べたいです。兄様」

「九条さんたちもどうですか?ご一緒しませんか?」

「あ、はい。ご一緒させてください」


4人で喫茶店で休憩と食事をすることになった。

お店の中には数名のお客さんたちが楽しそうに水族館のことを話しているのが聞こえてくる。

私たちは各々の注文を済ませ暫く雑談していると注文の品がテーブルに並んだ。


「それでは。頂こうか」

「頂きます」


私はサンドイッチと紅茶を頼んだ。

彼女たちもサンドイッチと彼女はコーヒーを、小さな女の子はオレンジジュースを頼んでいた。暫く時間を潰したところで帰る時間になった。


「よかったら僕がご自宅までお送りしましょうか?」


そう兄様が彼女に声をかけると彼女たちもその提案を受け入れた。

今日はとても疲れた。兄様に振り回され、彼女の登場に驚き。

でも楽しかった。

彼女と一緒に過ごすことが出来た水族館デート。

こっそりと手を取り合った時間はとてもドキドキしたけれど嬉しいと思った。

彼女もおそらくそう思ったに違いない。

彼女たちを自宅まで送ると私たちの自宅へ向かって車は走り足した。


「今日は楽しかったかな?」

「はい。とても楽しかったです。有難うございました」

「喜んでくれたのなら僕は満足ですよ」

「偶にはこういうお出かけもいいですね、兄様と」

「偶にはいいでしょ?こんな休日があっても」

「はい」


私は最後の体力をふり絞って運転中の兄様に向け最大級の笑顔を送った。

運転中の兄様は私の贈り物に気づくことはなく、運転していた。

兄様の横顔は綺麗でカッコいい。

兄様はとても女性にモテるに違ない。

こんないい男性、世の女性達が放っておくわけがない。


でも兄様には許嫁がいらっしゃるので他の女性との出会いはないですよね。



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