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2.とりあえず

「とりあえず、入学式が終わって帰るだけだけど。用事がないなら話をしませんか?」

「え…?いいんですか?私告白したばかりでお返事もらってないんですけど」

「それも含めて。近くの喫茶店でお話しましょう」

「はい」


私が喫茶店に誘うと彼女は嬉しそうに微笑んだ。本当に可愛いらしい女の子だ。彼女はとても魅力的な女性だった。ポニーテールが似合っていて、清楚で、口元がプルっとしていた。二重瞼できりっとした感じの目元が印象的だ。制服でも隠しきれない位の胸の大きさ、形も多分いいんだろうと思う。すらっとした足。スカートも短めで今風の女子だった。私とは正反対の彼女が私を好きらしい。なんだかそれに興味を持ってしまった。高校の近くにある喫茶店まで黙ったまま歩いていた。適当な席に座ると彼女は店員さんにブラックを頼んだ。私は紅茶を頼んだ。暫くすると頼んだ飲み物が運ばれてきた。彼女はミルクを入れるとスプーンでかき混ぜていた。私もミルクを入れた。なんとなくそうしたほうがいいかなって思ったから。数秒沈黙が続き、彼女から話しかけてきた。


「あの…。いきなり告白して、ごめんなさい。ご迷惑、ですよ、ね?」

「え?別にそれは気にしていない、です。でも驚いたのは事実、ですけど」

「ですよね。女の子が女の子に告白って…。ありえないですよ、ね…」

「なぜ、ありえないんですか?好きになったのが偶々、女ってだけ、ですよね?悪いことなんですか?」

「え…?気持ち悪くないですか?」

「ぜんぜん、気持ち悪くないです」

「そう、なんですね」


思ったことを言ったつもりだけど、なんだか嬉しそうな顔をした彼女。そういえば、彼女の名前を私はまだ知らない。私も名乗ってない。まずは自己紹介から、したほうがいいのではないだろうか。そう思った。


「とりあえず、名前。自己紹介?しましょうか。私は鷹司めぐみです。あなたは?」

「あ、はい。私は九条あいと言います。鷹司さんのことは、実は受験の時にお名前知ってました。鷹司さんは気が付いてないかもしれないですが、受験の時私はあなたに一度会っていたんです。覚えて、ないですよね?」


知らない。覚えているわけがない。私は他人に興味を示せないし、私のことを意識してきた人もいなかったし。どういう理由で会ってたんだろう。会話、したのかな?思い出せない。正直に答えたほうがいいよね。それで嫌われたらこれでこの人とはばいばいだし。そう思った。


「ごめんなさい。覚えてません」


私はそう言って頭を下げた。すると彼女は慌てて両手を振りながら話しかけた。


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