15.バレ、た…?
「そう言えば、鷹司さんと九条さんって…お付き合いされているのかしら?」
お昼休み。小鳥遊さん達と昼食を共にしていた時に、瀬戸さんにそう聞かれた。
お弁当に入っていた卵焼きを箸で掴み口に入れようとしていた時のことだった。
「え…?」
私は驚いて箸を置いた。
瀬戸さんの突然の質問で少し同様してしまった。
小鳥遊さんと前田さんはぽかんと口を開けて私のことを見ていた。
瀬戸さんはまた話始める。
「この前の事なんですけど。学校帰り駅前に用事があったんです。駅に向かう途中鷹司さんと九条さんの姿が見えたので、お声がけしようと近づいたらお二人手を繋ぎながら歩いていたのが見えて。もしかしてって思ったんです」
…見られていたのか。
さてどう答えよう。
あいちゃんには二人の関係は秘密という約束をしているから素直に打ち明けることは出来ない。しかし言い訳を考えるにしてもあまりにも不自然だとかえって疑われる。
私は目を閉じて頭の中で考えをまとめ、話始めた。
「そうなんですね。ビックリさせてしまって御免なさい。あ…、九条さんとはただのお友達同士ですよ。偶に手を繋いで帰ることがあります。ただそれだけです。瀬戸さんがお考えになっているような関係ではありません」
「そう…なのですね。すみません、気になってしまったので唐突にお聞きしてしまって…」
「大丈夫ですよ」
はっきりと話すことでその時の状況を説明した。
何とか納得してくれただろうか。
瀬戸さんは相変わらずオブラートに話をされない方だ。
真面目過ぎて直球で発言するからビックリしてしまう。
ほかの二人も納得してくれたのか、これ以上話題に出ることはなかった。
その帰りお昼のことをあいちゃんに報告した。
彼女もビックリした表情で私を見つめていた。
二人の関係が公になることを恐れている彼女にとって、この話はとても大変な事なのだろう。
「瀬戸さんが…鋭い…ね。う~ん、学校近くではやっぱりラブラブしちゃだめなのかなぁ~。バレたら大変だよねぇ…。めぐちゃんに迷惑がかかっちゃうの、私嫌だし…」
「え…?私が迷惑って?」
「めぐちゃんと私が付き合ってるって知られたら恥ずかしいでしょ?」
「特に恥ずかしいとかはない、と思うけど」
「そうなの?」
「うん。今まで誰ともそういうことなかったからね。あいちゃんが初めてだから」
「そうなんだ。でも女の子同士っていうのもあるし。あんまり大っぴらには…ね」
「そうだね。これからは気を付けよう」
「え~…。でもあんまりべたべたしてると疑われちゃうよねぇ。やっぱ気を付けるしか、ないね」
「なるべく。でも手を繋ぐくらいいいとは思うけれど…」
「だよね!手を繋ぐくらい友達でもやってるよね!」
「ごめん。友達と手を繋いだことがない…」
「私は友達と手を繋ぐことあるから大丈夫」
そう言って彼女は私と手を繋いだ。
流石に恋人繋ぎはしなかったけれど軽く握りしめた。
私と彼女の関係は他の人には秘密。
女の子同士の恋愛というのはとてもデリケートなんだろうか。
私はそもそも異性同性関わらず関わったことがない。
だから正直恋愛に関して分からないことだらけだ。
以前彼女にそう言ったら、彼女は笑顔でこう言った。
「大丈夫。私が教えてあげるから」
恋愛って教えられて身に着くことなのだろうか。
だがここは彼女の善意に甘えることにしよう、そう思った。




