13.お泊り(後半)
映画が終わるとちょうどいい時間になったので夕食を済ませた後お互いお風呂に入った。
最初は一緒に入ろうと言われたが、流石に恥ずかしいと言ったら、また今度ね、と笑っていた。まったり時間を過ごした後は寝るだけになり私たちはそれぞれの布団へ入ることにした。
「今日はとても楽しかったね」
「そうだね。私初めてなことだらけで新鮮だった」
私は彼女に初体験のことを話した。
暗い部屋にベッドの上で寝ている彼女を見ると彼女も私のことを見ていた。
「そっかぁ。ねぇこっちに来ない?お布団は固いし、めぐちゃんの顔を見ながらお話出来ないのは寂しいし…」
「うん。じゃ、お邪魔しようかな」
「おいで、おいで」
私に向かって手招きする彼女の姿はとても可愛らしかった。
私は枕だけを持って彼女の寝ているベッドへ。布団をあげてお邪魔した。
布団の中は彼女の体温で暖かった。仰向けになって天井を見ていると、私の手をそっと握りしめた彼女。
私はふと彼女の顔に目線を向けた。彼女は顔を赤く染めて微笑んでいた。
とても幸せそうな表情をしている。
私と一緒にいるのが本当に幸せと感じているんだろう。私はまだそういう感情になれないというのに……。
「明日はどこ、行こうか?」
「めぐちゃんはどっか行きたいとこあるの?」
「特にないかなぁ。あ、でも帰りは兄様が迎えに来るって言ってたから、長くは遊べないかな」
「そうなんだぁ…。ちょっと残念」
「ごめんね。明日は15時に駅前だから。それまでどうしようか?」
「考えとくね。それにしてもめぐちゃんいい匂い」
「あいちゃんと同じ匂いだよ」
「ううん。全然違うよ。とってもいい匂いだわ」
「ありがとう。あいちゃんもいい匂いだよ」
私とあいちゃんは布団の中で抱き合った。
互いの足を絡めて、彼女の手は私の腰をぎゅっと掴んでいた。
私は彼女の背中にそっと手を当てていた。
彼女のはぁ~っと吐く吐息と私の匂いを嗅ぐ為なのか、すぅ~っと吸う深呼吸を繰り返していた。
呼吸をするたびに大きく胸が膨らみお互いの胸を押し合っているのが分かる。
ちょっと胸が苦しいというか窮屈というか、変な感覚になっていた。
「こんなに甘えてごめんね。めぐちゃん嫌だったら言って、ね」
「大丈夫。嫌じゃないよ」
「私、どんどん求めちゃうよ…。どうしよう。めぐちゃんの事が好き過ぎて、頭では我慢しなきゃって思ってても、体が先に行動しちゃう。だから行き過ぎてたら、私のこと止めてね」
「分かったよ。私は嫌なことは嫌だって言うから。私は人と付き合ったこともないから、どういうのが正しいのか分からないの。だからあいちゃんに教えてもらえたら嬉しい」
「うん。私でよければ。でも、恋人との付き合い方って、実は私も初めて、なの…。男の子とお付き合いしたことないし。ましてや女の子とも、無いから。これが正しいのかどうか分からないけど」
「そっか。じゃ、お互い色々試しながら、だね」
「そうだね。そろそろ眠たくなってきちゃった。めぐちゃん眠れそう?」
「うん。もう眠たくなってきたよ」
「じゃ、また明日ね。おやすみ、めぐちゃん」
「おやすみ」
お休みの挨拶を済ませると彼女はすぅ~っと眠りについた。
私と彼女の恋愛はまだまだこれからなんだということが分かった気がした。
明日は、どこに行こうか。
何をしようか、そう思いながら私は目をゆっくり閉じて眠りについた。




