10.三人組
昼休みが終わり午後の授業が始まる。授業の時はとても落ち着く時間だ。
皆黙って授業を受けっているから気が楽。午後の授業も終わりを迎えた。
私は荷物の整理をして椅子から立ち上がった。教室を出ようとすると何人かの女子生徒から声をかけられた。このクラスの子が私に何の用があるんだろう、そう思いながら立ち止まった。
「あの…、た、鷹司さん。突然なのだけどもしかしたら隣のクラスの九条さんと、仲良し、のかしら?」
友達…?違う。恋人だ。でもここで恋人だというと何かと面倒が起きそうな気がした。どう答えたらいいものか、数秒悩んでこう答えた。
「はい。とても仲良くさせて頂いている大切な方、です」
「そうなんだ!ごめんなさい。私、鷹司さんって孤高で、高貴な方だと思ってて私たちなんか身分の低い人とは友達になれないって思ってたの。それで、あの、あのね!もしよかったら、私たちとも仲良くしてくれないかな?お友達になってほしいの…。ダメかしら?」
「え……?私と仲良くしたい、と…。友達…」
「ええ。ダメかしら…?」
ん?どういうことだ。私は誰とも友達になったことが無い人間だぞ。それに孤高で高貴って。確かに私の家は古くからある名家だけれど、私はお嬢様ではないし、お姫様でもない。大体貴族ではないのだよ、私の家は。さて、どう答えるべきか…。九条さんに相談したほうがいいのか。それとも断ったほうがあの子たちのためなのではないだろうか。でもクラスの人が見ているところで私が断ったら、彼女たちが辱めを受けるんじゃないだろうか。私はそう思い彼女たちに答えた。
「はい。私なんかでよければ。宜しくお願い致します。私の名は、鷹司めぐみ、と申します」
「有難う!私の名前は小鳥遊恵梨香って言います。宜しくね」
そう彼女言って自分の手を差し出した。私はその手を取った。小鳥遊さんの右に立っている女の子が口を開いた。
「私の名前は、瀬戸愛子。恵梨香とは中等部からの友達なの。鷹司さん、私も貴女とずっと前から友達になりたかったの。とても嬉しいわ」
「えーっと。私は前田結衣っていいまぁーす!エリちゃんとアイちゃんと同じ中等部からの友達なのでぇす!めぐちゃん宜しくね」
二人は私の手を取って嬉しそうに笑っていた。小鳥遊恵梨香さん。瀬戸愛子さん。それと前田結衣さん。前田さんは凄く人懐っこい人だと一瞬で分かった。私のことをめぐちゃんって呼ぶ人は今まで一人もいない。悪い気もしないからスルーすることにした。
折角友達になったから校門まで一緒に帰りましょうと瀬戸さんからの提案を私は受け入れた。下駄箱のところに着くと九条さんが私の下駄箱の前に立っていた。私が来たことに気づくと笑顔で手を振った。そっか、私のこと待ってくれていたんだ。だとしたら待たせちゃったかもしれない。後で誤っておこう。それとこの三人を紹介したほうがいいよな。そう思いながら九条さんのところへ向かって歩いた。
九条さんと合流した私は三人組を紹介した。すると九条さんは既に彼女たちのことを知っていたのだった。九条さんも彼女たち同じ中等部からの友達だったらしい。そうか、だから私に声をかけたんだ、そう考えると納得できた。彼女たちが私と友達になりたいといった理由。
私は入学して一週間で友達3人と恋人が出来た。人生初の出来事である。それと私の携帯に4人の連絡先が登録されたのも奇跡の出来事だった。小鳥遊さんたちとは校門前で分かれ、九条さんと最寄り駅まで一緒に向かった。
明日はいよいよお泊りだ。そう考えたら妙に心臓がバクバクしてきた。これが緊張というものなんだろうか。私はまた新しい体験をしたのだった。




