1.初めての友達?告られたけど
私は昔から友達と呼べる人がいなかった。兄妹はいるけれど一人に慣れている。幼稚園、小学校、中学校でも友達は一人も出来なかった。だけど一人は苦痛じゃなかった。周りの視線も気にしなかったし、周りからどう思われているかなんて気にしなかった。このままずっと友達が出来ず、将来名前も知らない、顔も知らない人と結婚するだけの存在だから割り切れると思っている。
高校受験は同じ中学校の人が来ない学校を選んだ。偏差値は70くらいの進学校をわざわざ選んだ。一人だったからやることもなかった為か、勉強は出来た。全国模試も10位以内を常にキープ出来ていた。高校に入っても多分友達は出来ないだろう。部活に入るつもりもない。三年間、今まで通り過ぎ去るだけの事だと思っていた。
だけど、入学式の時に私は人と交わった。というか、声をかけられた。初めて会話したその人は私にこう告げた。
「高校受験の時、初めて貴女を見て、一目惚れしました。私と付き合ってください」
なんだこれ。私と付き合ってください?意味が分からない。私の脳みそが理解不能とアラームを鳴らしている。私がフリーズしていると目の前の彼女が頬を赤らめて恥ずかしそうに下を向いていたのが見えた。なぜ恥ずかしそうにしているのかわからない。私はどうしたらいいのか、わからない…。とりあえず、何か声を出したほうがいいということだけはわかった。何を話そう。どう答えたらいいのか。彼女にどう接すればいいのか。私は悩んだ。焦った私は本能のまま話してしまった。
「なんで、私、なの?」
しまった。何で私なのってなんなんだ?人を好きになったことがない私が上から目線とか、ありえないでしょう。これは不味い。でも、これでこの人は私のことを嫌いになるだろう。そうすれば、この人とも話すことはないだろう。そう思っていた。だけど…。彼女は口を開いた。
「それは、一目惚れ、してしまったから…です」
…一目惚れ?なんだそれは?どういうことなんだ。私は顔が可愛いわけでもないし、体形も普通だと思う。少々胸が膨らんでいるくらいで太って見えるだろうくらいにしか思ってない。それに髪は長髪だけど結んだり、いじったりしたこともない。常におろしている。そんな私が、一目惚れされたってこと?なぜそうなったんだろう。少し冷静になってその気持ちに興味をもってしまった。少し話をすれば、諦めるだろう、私は他人と関わるべき人間ではないから。