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嫌われた令嬢、ヒルダ・フィールズは終止符を打つ  作者: 結城芙由奈@コミカライズ連載中


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第9章 8 すれちがう想い

 結局その後もバスの中では2人共、1言も会話する事も無くバスから降りた。

ノワールはバスの昇降時は手を貸してくれたが、始終口を利く事は無かった―。



ヒルダとノワールが家に帰って来たのは午後の9時を過ぎていた。


「ヒルダ、先にバスルームを使うといい。俺はまだ執筆の仕事が残っているから」


ノワールはようやくヒルダに話しかけて来た。


「え?でもお先に使わせて頂いて宜しいのでしょうか?」


「ああ、大丈夫だ。それにそんな細かいことは気にする必要はない。ヒルダは自分がこの家に置かせて貰っていると考えている様だが…ここは俺とヒルダの2人の家なのだから」


「ノワール様…有難うございます」


ヒルダは頭を下げて礼を述べた。


「別に礼を言う程の物では無い。バスルームの使い方は分るか?」


「はい、大丈夫です」


「そうか、ならいい」


「それじゃ俺は自室で仕事をしているから」


ノワールはそれだけ言うと、自分の部屋へ行ってしまった。ヒルダはノワールの後姿を見送った。


(ノワール様は私に気を遣って下さっているのね…何だか申し訳ないわ…私が本当の家族か、カミラとのような関係だったなら良かったのに…)


それにヒルダには不安な事があった。それは、いつまでこの家に置いてもらえるのかと言う事だった。


(ノワール様にもいずれ好きな女性が現れるかもしれないわ。そうなると私はここを出て行かなければならなくなる…)


その事がヒルダを落ち着かせない気持ちにしていた―。



****


 ノワールが借りてくれたこの家は全てが使いやすくなっていた。ボイラーが完備されているのでバスルームはコックをひねればお湯が簡単に出るのだ。ヒルダはその事に感動していた。

バスタブもとても広く、お湯に浸かることが出来た。ヒルダはバスタブにお湯を張り、身体を沈めた。


「ふぅ~…気持ちいい…」


そしてヒルダはお湯の中で足のマッサージを始めた。今まではカウベリーの屋敷でしかお湯の中で足のマッサージをする事が出来なかったが、この家ではそれが出来る事が何より嬉しかった。


(毎晩お湯の中で足のマッサージを続ければ、以前よりも足のしびれが良くなるかもしれないわ…)


ヒルダは思っていた。

ノワールとの暮らしがいつまで続くかは分らなかったが、この家で暮らせる間に足のマヒを少しでも回復させる事が出来ますように…と。



 まさか、ノワールがずっとヒルダと共に暮らしていける事を望んでいるとは、ヒルダは少しも気付いていなかったのだ。

そしてノワールが不機嫌な理由はフランシスに嫉妬していたからだと言う事にも―。





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