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第3章 2 カミラとアレン

 ヒルダがアパートメントを出ていった後、カミラは食事の後片付けをしていた。今もカミラはフランシスの屋敷でシッターの仕事をしているが、本日はレストランの定休日なのでカミラの仕事は休みである。本来であれば、カミラもヒルダがハリスから許された今ではフィールズ家から給料を貰えるようになっていたので、わざわざフランシスの屋敷で働く必要は無かったのだが、カミラにはある夢があった。それは、もしこの先…カミラもヒルダも誰とも結婚しなかった場合…2人で年老いても暮らしていける為に、郊外に家を建てようと考えていたのだ。


(最も…ヒルダ様がずっと私がお側にいることを承諾して下されば…の話だけど)



 食後の後片付けに洗濯を終わらせて時計を見ると時刻は11時になろうとしていた。


(ヒルダ様のお帰りは今日は17時頃だったわね。大学生活初日のおめでたい日だから今夜の食事はいつもより豪華にしたほうが良さそうね)


カミラはエプロンを外すと、マーケットへ食材を買いに行くための準備を始めた―。




****


 今日は診療所は休みの日であった。アレンはその頃、食材を買うためにマーケットにやってきていた。


「ほう…これは美味しそうな果物だな?」


アレンは青果を売っている屋台で足を止めた。青果売り場ではドライフルーツやナッツも売っている。


(そう言えばヒルダはドライフルーツが好きだったな…休み時間に皆で食べられるように買っておくか…)


「すみません、このドライフルーツの詰め合わせをください」


アレンは屋台の店主に声をかけた―。




「これだけ買えば、当分診療所におやつはいらないかもな。ヒルダはきっと喜ぶだろう…」


そんな事を考えながらマーケットを歩いていると、前方から見知った人物が買い物かごを下げてこちらに向かって歩いて来る姿が目に止まった。


「おや?あの女性は…」


それはカミラだった。カミラもアレンの姿に気付き、足を止めた。


「こんにちは、カミラさん」


アレンはにこやかに手を振った。


「まぁ…アレン先生ではありませんか。偶然ですね。お買い物ですか?」


「ええ今日は診療所がお休みですからね…自炊をしようかと思い、食材を買いに足を運んだのです」


「そうだったのですね。それにしても意外な場所でお会いしましたね。まさかアレン先生とマーケット内でお会いするなんて」


「ええ、そうですね」


アレンは頷くとカミラに尋ねた。


「そう言えば、本日ヒルダは大学の入学式ではありませんでしたか?」


「ええ、そうなのです。そこで今夜は何かご馳走を作ろうかと思って、マーケットに足を運びました」


「なる程…」


「でも、食材が豊富で何を選べばよいか迷っておりまして」


するとアレンが言った。


「よろしければ一緒に食材を買いに行きませんか?この辺は庭みたいなものですから」


「本当ですか?それは助かります」


「では参りましょうか?」


「はい」


そしてカミラとアレンは2人で食材を探すために、マーケットの中を歩き…互いの買い物が終了する頃には、すっかり意気投合していた―。

 


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