エピローグ
その後、隻腕の聖剣士カルマは各地でクエストをこなし、いろいろな伝説を生み出すこととなった。
その影で灰色の小さな動物の伝説が語られることも多い。
カルマの伝説は吟遊詩人シキブが残したサーガに詳しい。
特に有名なのは『ヴァルニール村戦記』だ。
カルマとその仲間たちが小さな村ヴァルニールを1000人の革命団から守る話だ。
その仲間の一員として戦ったシキブが唄ったのだから、歴史的にも価値のあるものだ。
しかし、その中に描かれたカルマとケントやベルツとの恋愛模様が、それを台無しにしている。
シキブは初めてのBL作家としては有名になり、そのサーガは広く歌われることとなったが、文学的価値は低いとされている。
あと、サーガの信憑性が疑われるのは、カルマと仲間たちがみんな生き残ったことだ。
途中カルマと仲間たちは次々と倒れていく。
しかし、なぜかそのあとの物語が残っているのだ。
シキブのサーガではその部分は語られない。
後世の歴史家は、このころのサーガは口伝であり、大切な部分が失われたといわれる。
また、このサーガ自体が創作であるという説もある。
とくにさっきも言ったとおりBLの部分がすべてを台無しにしているのだ。
まあ、このお話を裏付ける証拠待ちといったところか。
歴史はひとつの証拠で簡単に覆るものなのだ。
シキブ以外のその後についても書いておこう。
ケントはその後、剣士として名をはせることとなる。
飛天流の始祖として、最強剣士の一人に数えられる。
同時代の剣聖マリーと並べて称される剣豪となった。
その武に関する書物を残しているが、その中で自分は剣技以外の大事なことはすべてカルマに学んだと回想している。
ケントはカルマと違って大勢の弟子を取り、剣術を教えた。
ただ、その技は真似できるものではなく、剣技としては衰退することとなった。
その精神は多くの武道者に影響を与えることとなった。
次にベルツだが、この僧侶も長生きすることなった。
免罪符で腐敗したエリル教を立て直すため、教皇にも推されるくらいの聖人となった。
ただ、ベルツはそれを辞退し、ただの乞食僧として生きることを選んだのだ。
彼の拠点とする孤児院は多くの聖人や武道者を生み出すこととなる。
大きな身体に傷だらけの顔、首には髑髏の首飾りをしている異形の坊主。
その細い目は誰よりも優しかったと伝えられている。
次にメアリー。
酒仙魔女として、この後もいろいろな伝説を生み出すこととなる。
といっても、魔女としての伝説ではなく、酒に関する伝説がほとんどだ。
ただ、彼女はカルマを追いかけてこの後もカルマの伝説に名を刻むことが多い。
シキブの唄うサーガでは悪名をはせることとなる。
それはシキブとメアリーの仲が悪かったためとも言われている。
とにかく彼女も伝説の魔女となったのだ。
アイザックは表舞台には現れない。
ただ、後に世界を席巻するティアの商会。
その商売は何よりも情報を重要視していた。
その情報部門を作ったのがアイザックだと言われている。
そして、七人目の仲間。
灰色の耳の少女は、最初からいなかったように姿を消してしまった。
彼女がこのサーガでどんな役割を果たしたのかはわからない。
そしてその話は決して語られることはないのだった。
第一話 聖剣士カルマと6人の仲間たち 了
とりあえず、カルマくんの話が終わりました。
作者は猫作家の呪いをかけられてしまいました。
これからも猫ちゃんのお話を描いていきたいと思います。
つぎは、蒼生くんのお話の予定です。
異世界でもバトルでもなんでもないお話になりそうです。
引き続き、よろしくお願いします。
PYON
★これからもいろいろな猫ちゃんのお話をどんどん書いていこうと思っています。
まだ未熟ですが、猫ちゃん小説好きのかた、応援していただけるかたがいれば下の☆☆☆☆☆から評価や、ブクマなどお願いします。
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