聖剣士カルマ08
「兄貴ひどいっすよ。
今度の冒険には連れて行くっていったじゃないっすか」
「カルマはん、抜け駆けはあきまへん。
なんかええ話あるんでっじゃろ。
お宝の匂いがプンプンしてまっせ」
いきなり、後ろから声がする。
ケントとベルツだ。
そして、俺の首筋にいきなりナイフがあてられる。
そのナイフを指先で止める。
全然殺気を帯びていない攻撃だ。
「ちっ、またしくったか。
仕方ねえな。
またお前についていかねばならないな。
お前を殺すのは俺だからな」
「カルマ、どこに行くの?」
「カルマさん、わたしはついていきますよ。
カルマさんのサーガを書くのですから」
メアリーとシキブが駆け付ける。
仕方ないやつらだ。
こいつらにわからないように、こんな早朝の出立にしたのによ。
「だめだ。
今回だけは。
死にに行くようなもんだからな」
そう、みんな無駄に死ぬ必要はない。
俺も別に死にに行くつもりではないが、今回だけは勝算が見えない。
「俺は行きますよ」
「わてもですわ。なんか金の匂いがプンプンしてますわ」
「お前を殺すのは俺だ。お前を殺すまで離れることはできない」
「一緒に行くに決まってるでしょ」
「わたしはカルマさんのサーガを書くんです」
みんな引く気配はない。
こいつらをあきらめさせることは、かなり骨だろう。
「好きにしろ」
俺がそう言うと、みんなから歓声が起きる。
それなら、あと一台、馬車を増やさなければならない。
準備も必要だろう。
出発時刻を昼に遅らせる。
今回の依頼についての作戦を練り直さないとならない。
なんとしても、生き残れる作戦が必要だ。
それと、俺の宝石袋を彼らの報酬としよう。
俺は、マルテを呼び追加の準備を依頼するのだった。