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猫にひかれて異世界生活 みじかい尻尾  作者: PYON
第一話 聖剣士カルマと6人の仲間たち
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聖剣士カルマ43

 どうする?

 勝てる気がしない。

 

「やっぱり、お前は許せないにゃん。

 お前を殺すニャン」

 いきなり足元に灰色耳の幼児が立って、俺に何か言っている。

 このややこしいときに。


「後でな。

 それも俺が生きていればの話だが」


「ダメニャン。

 今殺すニャン。

 ニャンゴルモア!」

 幼女が天に手を上げる。

 そのとたん、空から光が降りてくる。

 鼓膜のやぶれそうな衝撃音。

 そして、目の前が真っ白になる。


 だんだん、視界が戻ってくる。

 俺はクレータの中心に立っていた。

 俺のそばには幼児だけ。

 周りには元人間であったものが散らばっている。


「だから、お前の魔法は俺には通じないんだ」

 俺は幼児を哀しい目で見下ろして、頭を撫でる。


「お前は許さないにゃん。

 アキヒロを殺したお前は許さないにゃん」

 幼児はそう言うが、その目はなぜか優しく笑っている。


「ひっ、なんなんだ。これは」

 エグゾダスが恐怖の目で俺を見る。

 ぎりぎり生き残ったようだ。

 そして、他の兵士は逃げる。

 だが、幼児は容赦なくその兵士たちの上に魔法を降らせる。

 いや、それって俺、関係ないじゃん。


 エグゾダスも逃げようとする。

 俺は、その前に立ちふさがる。

 

「兵は引く。ヴァルニールの村はもう襲わない。

 だから、許してくれ」

 膝をついて俺を拝む総統。

 俺はそれを見下ろす。


「ああ、わかった。

 しかし、この戦いを止めるのに必要なものがあるんだ。

 それをもらう」

 そう言って俺は総統の首を刎ねる。

 そう、戦争を止めるにはこれが必要なんだ。


 俺はその首を拾い上げ、村に戻ることにした。

 いつの間にか、灰色耳の幼児の姿も消えていた。


「ありがとな」

 俺は猫ニャンに礼の言葉を呟くのだった。

 


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