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猫にひかれて異世界生活 みじかい尻尾  作者: PYON
第一話 聖剣士カルマと6人の仲間たち
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暗殺者アイザック05

 こういう敵の対処法は、本体を探すこと。

 そう、獣の弱点。

 それは、欲がないこと。

 やつらは人間と違って、不必要な戦いはしない。

 腹が満たされていれば、戦う理由をなくすということだ。

 獣は戦いのプロだが、戦いが好きなわけではない。

 生きるためにしかたなくやっているのだ。

 その意味では俺もそうか。

 人間の中でも野獣に近い存在だ。

 俺は苦笑する。


 俺は戦いながら、まわりをうかがう。

 そう、猿回しを探しているのだ。

 こいつを使っている人間がいる。

 こいつが、革命理念や総統のために戦っているとは思えない。

 

 とにかく、アクロバティックな戦いは続く。

 猿回しを探す以外にも、時間をかけていることには理由がある。

 人間というのも捨てたものではないのだ。

 例えば走りなら、人間は犬にも勝てない。

 それ以上に速い肉食獣がいるとも聞く。

 ただ、それは短距離走限定だ。

 長距離走なら人間がぶっちぎりでトップだ。

 つまり、獣は瞬発力があっても持久力はないということだ。

 たぶん、これは猿にも言える。

 その証拠に猿の動きはだんだん鈍くなる。


 さて、そろそろか。

 俺のナイフは猿の首を掻き切る。

 猿は地面をのたうち回り、こと切れる。

 これで、総統を狙える。

 なかなかの強敵だったぜ。

 猿回しはこれほどの戦闘力を持たないだろう。


 そう思ったとたん。

 後ろから、暗器に襲われる。

 振り返るとローブをまとった小人が2人。

 いや、こいつらも猿だろう。

 一匹でもなかなかやっかいだったが、今度は2匹。

 俺はバク転で避ける。

 やばいな。

 

 俺は目の端で笛を吹く男を見つける。

 あいつだ。猿回しは。

 しかし、2匹を相手にしながら奴をたおすのは至難の技。

 しかたない。

 こいつを残すとカルマも困るだろう。

 こいつらだけは何とかしておこう。


 俺は指弾を取り出して猿回しに向かって弾く。

 その弾は猿回しの額を撃ちぬく。

 しかし、そのために俺にも隙が生じる。

 集中しなければ、命中させることはできなかったのだ。


 獣はその隙を見逃さない。

 猿の手に仕組まれた暗器は俺の頸動脈を断つ。

 俺は首から血を噴き出しながら、一匹の猿を仕留めるのだった。

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