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猫にひかれて異世界生活 みじかい尻尾  作者: PYON
第一話 聖剣士カルマと6人の仲間たち
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吟遊詩人シキブ05

「わたしは、吟遊詩人シキブ。

 リフレクトを使うのはわたしだよ」

 わたしは傘をまわしながら、叫ぶ。

 そう、こっちに注目しろ。

 村人の被害を最小限にするんだ。


 っていっても、わたしが殺されるだけになるとバッドエンドだ。

 とにかく見えない敵を撃退しないとならない。

 ただ、わたしにも勝算はある。

 わたしは吟遊詩人、吟遊詩人は音楽家ってことなの。

 音楽家に必要な資質ってわかる。

 それは耳がいいってことなの。

 音楽家に目が見えない人はいるけど、耳が聞こえない人はあまりいない。

 そう、音楽を覚えるのは全部耳コピー。

 楽器も歌も全部耳だけがたより。

 だから、普通の人よりどうしても鍛えられるようになる。

 目を閉じて音だけに集中するなんて練習方法もある。

 師匠についている時は、師匠の指がガットの弦を滑る音までコピーしたものだった。


 だから、わたしくらいになると、音で相手の位置を知るくらい簡単なことだ。

 傘をまわしながら、相手の来るのを待つ。

 どうせ目が信用できないのなら、目を閉じて相手を感じる。

 まだ、わたしの近くまで来ていない。

 相手も無駄に村人を倒すのをやめる。

 そう、倒れる村人の位置でどこまで来ているかわかるのを避けるのだ。

 ばかな奴ではない。

 たぶん、能力からして幹部クラスか。

 

「みんな、私から離れて動かないで」

 わたしの周り5メートルくらいに空地ができる。

 これでいい。

 わたしは、再び目を閉じて周りに集中する。


 わたしのレーダーに何かひっかかるものがある。

 その息遣いを追いかける。

 荒い息遣いだ。

 村人たちのものではない。

 一度目を開けるがそこに人影はない。

 どんな仕掛けかわからないが、本当に透明だ。

 時間制限でもあるのか、かなり急いでいる。

 ずっと透明でいられるわけもないのだから、そのあたりに答えはあるのだろう。


 ナイフが振られる音、それから微かな風。

 わかってるよ。お前がそこにいるのは。

 目で見えるように聞こえてるよ。

 わたしは敵の攻撃を避ける。

 

 そして、傘をたたんで応戦する。

 透明の敵に傘が当たる。


「姿を消しても無駄なようだな。

 わたしはウェルテル4番隊長だ」


「わたしはシキブ、吟遊詩人だよ」

 わたしはウェルテルとにらみ合うのだった。



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