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猫にひかれて異世界生活 みじかい尻尾  作者: PYON
第一話 聖剣士カルマと6人の仲間たち
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エリル教修道士ベルツ10

 ギョウブの構えは静。

 音が感じられません。

 こういうのがいちばんやばい。

 いままでの勝負感っていうのが教えてくれます。

 ここで命を落とすかもしれまへん。

 そやけど、とにかくこの化け物だけはたおしてみせます。

 あとは村人でもなんとかなるかもしれまへんが、こいつだけはダメです。

 二の門に入らせるわけにいきまへん。

 

 わてもすり足で相手を身ながら動く。

 そう、いちばん速く錫杖を動かせる位置に身体を動かす。


 ギョウブが動く。

 ゆっくりと剣を左まわりにまわす。

 その動きに隙はありません。

 カルマはんとは違う迫力みたいなものを感じます。

 小柄な老人がだんだん大きく見え始めます。


 お見合いしていても仕方ありまへん。

 わては錫杖を振り回して、ギョウブを殴ります。

 どう見てもわてのほうがリーチが長いです。

 懐に入らせなければ、自慢の剣技も使えまへん。


 錫杖で殴ったと思った瞬間、ギョウブの姿が消えます。

 錫杖の先を見ると、その上にギョウブが立っているのでした。

こんなことができるとはかなりの達人でしょう。

当代でも指折りの剣士といってもいいでしょう。

これだけの剣気をもつのは。

わての知る限りカルマはんくらいです。

これは本気ださなあきまへん。


そやけど、不思議と負ける気はしまへん。

それはこいつはカルマはんと違って自分のためだけに戦っているからです。

ただ強さだけを求めて修錬をしはったんでしょう。

そやけど、わてらにとって強さとは手段にすぎないのです。

大切なもの、それを守るための手段、そのために強くなるのです。


ギョウブの求めるのは強さ、そのもの。

そんな意味のない強さ。

恐れることはありまへん。


ギョウブはわての錫杖を足場にして跳ぶ。

上段からわてを斬りつける。

重く長い錫杖は間合いに入られると、弱い。

ギョウブの剣は正確。

寸分違わずわての心臓を貫きます。


狙い通りです。

これほどの達人が失敗するわけがありません。

しかし、それがわかっていれば打つ手もあります。

わては血を吐きながらギョウブに微笑みかけるのでした。


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