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猫にひかれて異世界生活 みじかい尻尾  作者: PYON
第一話 聖剣士カルマと6人の仲間たち
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剣士ケント10

 出来るだけ高く。

 そして速く。

 この剣士と戦うにはそれしかない。

 いままでの俺では勝てない。だから俺を超える。それしかない。

 100%ではなく120%の力で戦うしかないのだ。


 俺は今まで以上に高く跳び滑空する。

 燕のように空を滑る。

 飛燕剣それはこの姿からつけられた名だ。


 メルキドと交差する。

 そのとたん、手首に大きな衝撃。

 俺の剣が半分に砕けて切っ先があらぬ方向に飛ぶ。

 そう、俺の手にある剣が半分の長さになっていた。

 手首はその衝撃で骨が砕けたような感じがする。


「これで、お前は終わりだ。

 なかなか面白い剣だったな。

 だが、この破剣のメルキドには通じない」


 俺はかがんだ姿勢から横目でメルキドを睨む。

 人は勝ったと思ったとたん緩むものだ。

 そこを突くことによって勝利の糸口が見えることもある。

 そう、兄貴の教えだ。どんなにみっともなくても勝てばいい。

 何かを守るためなら、どんなことをしても良い。

 だが、メルキドにはそれはない。

 こいつは本物だ。

 それに比べて、俺は手首を痛めている。

 

「折れた剣では、もう戦えないだろう。

 降伏するのだ。俺の部下になれ、そうすればお前はもっと強くなれる」

 メルキドは俺に語りかける。

 こういうところでも、力の差を感じる。

 この余裕は、俺に万が一でも負けると思っていないのだろう。

 それが慢心ではないことは俺にもわかっている。

 

「ごめんだな。俺の師はカルマの兄貴だけだ」


「そうか。仕方ない。

 若い才能を潰すのは、俺の本分ではないがな」

 

 おれは地面から剣を探す。

 そう、倒れた兵士たちの剣。

 できるだけ、重い剣だ。

 折れた剣もなかなかいいものだったが、別に業物というわけではない。

 兄貴の剣のように神官アキヒロ作のものではない。

 あの剣はすごい剣だ。

 今では金貨100枚でも買えないというのもわかる。

 ただ、兄貴はその剣を見るときに哀しい表情をするのだ。

 あの剣なら負けないのかもしれないな。


 俺は倒れた兵士の剣を拾う。

 そう、普通の剣だが、俺のより少し重い。

 おれはその剣を構え、再び跳躍の姿勢をとった。

 


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