剣士ケント07
一番槍を求めて突っ込んでくる奴ら。
俺は門の前で待ち受ける。
相手は大盾を掲げて突っ込んでくる。
人数が多いだけに、ひとつの怪物のようにも見える。
盾の壁がこっちに押し寄せてくるのだ。
こっちの飛び道具を警戒してのものだろう。
まあ、それは正解なんだが…
これだけの人数と戦うのは初めてだ。
たぶん、生きては戻れないだろう。
あとは、どれだけ時間を稼げるかだ。
大軍を止めるだけではない。
俺たちが侮れないぞと思わせるのだ。
そうすれば、奴らの攻撃は慎重になる。
それから、幹部の一人でも倒せたらそれでいい。
兄貴が戻ってきたら、そこで戦争は終わりだ。
俺は少しジャンプする。
トントンとだんだん高く。
うん、調子はいい。
俺も前に駆けていく。
矢の射程範囲の少し外でやつらを迎え撃つ。
飛ぶように走る。
このスピードが俺の力だ。
体も小さい俺の到達点。
それは、速さだ。
カルマさんの剣とは全然違う。
でも、俺はカルマさんの弟子だ。
カルマさんの剣は自由自在の剣。
つまり、俺は俺にあった戦い方があるのだ。
それを教えてくれたのがカルマさんだ。
小さいときに教えてもらった剣技は、すべてのものに同じ型を教える。
それも悪くないのだが、結局最後は体重差、リーチの差で勝てなくなってしまう。
カルマさんはおまえにあった戦いをすればいいと教えてくれた。
それで、俺は壁を破ることができたのだ。
飛燕のケント、街では名うての冒険者となった。
さて、そろそろだな。
俺は、相手の盾を飛び越える。
そう、俺の剣は盾を斬るような剛剣ではない。
だから、上から行く。
落下しながら敵を斬る。
二人仕留めた。
もう一度跳ぶ。
落ちながら剣を振る。
血しぶきが上がって、また数人が倒れる。
相手は混乱する。
揃った足並みが乱れる。
俺は何度も跳躍しての剣閃を繰り返す。
「上だ!上に気をつけろ」
何人かが俺に気づく。
でも、ほとんどの奴らにはなにがおこっているかわからない。
俺は、相手のより相手が混乱するように攻撃を続けるのだった。




