剣士ケント06
「じゃあ、行ってくるわ。
おっさん」
正面の門のベルツに声をかける。
「何をいってまんねん。
カルマはんが戻ってくるまで、
わてらはここを守らなあきまへんね」
ベルツは鉄杖を持って敵を待っている。
「まともに戦ったら時間稼ぎもできないよ。
おっさんは逃げたら?
一人だけなら逃げられるだろう。
たぶん、死ぬぜ」
「そうでんな。
生きてここは守れまへんな。
そやけど、カルマはんと約束しましてん。
そやから、最後までつきあわせてもらいますわ」
この海坊主、守銭奴とかいわれてるけど、本当はそんなやつじゃない。
口ではいろいろいってるけど、一緒に戦ったらわかる。
こいつも死ぬつもりだ。
「とにかく暴れてくる。
俺にできるのはそれくらいだ。
おれはバカだしな。
いろいろ考えるのは性に合わない」
俺はジャンプして門の上に飛び乗る。
いい眺めだ。
こんなに多くの人の群れを見たことがない。
まるで人の壁。
そしてその壁は波がおしよせるようにこっちに迫ってくる。
やっぱ死ぬな。
どう考えても勝てる要素はない。
敵はもう近くまで迫っている。
考えるのは苦手だ。
俺は門から大きくジャンプする。
一番槍を競う奴らが突っ込んでくる。
たぶん、こいつらもバカなんだろう。
おもしろい。
俺は剣を抜く。
そのまま、ゆっくりと走り始める。
だんだん加速する俺の身体。
相手も先頭を競うようにこっちに向かってくる。
俺はアクセルを全開にして、革命団に突っ込んだ。