聖剣士カルマ41
剣の長さは信用できない。
相手の得物は剣ではないと思おう。
相手の武器は飛び道具なんだ。
しかし、銃ほど早くはない。
いわば、野球の投手の投げる球。
ちゃんとからくりがわかっていれば避けられる。
生来の動体視力の他に猫の力がある。
相手の攻撃が空気の流れが見えるのだ。
猫は犬よりも耳がいいと言う。
遠くの音や人間の聞こえない音まで聞こえる。
そして、その音の振動が耳の毛に伝わって距離や動きを伝えるらしい。
ヤクモの剣は右から来る。
楽勝だ。
当たる気がしない。
攻撃の後に隙が生じる。
ここがチャンスだ。
俺はヤクモの近くに走り込む。
姿勢を低くして、猫のように素早く。
相手の剣先は後ろから俺を追いかける。
わかってるぜ。
それが戻ってくるよりも俺の剣がヤクモを斬るほうが速い。
俺はヤクモを突く。
ヤクモはその剣を避ける。
やはり、相手も達人だ。
しかし、俺もその攻撃が通るとは思っていない。
俺は刀を返して、斬り上げる。
そう、これが俺のやり方だ。
上からの攻撃よりも下からの攻撃の方が避けにくい。
そして、相手は剣で受けることもできない。
刀が何かに当たる感触。
そのまま、大地を蹴る。
これで終わりだ。
後ろから戻ってくる剣を避ける。
とりあえず、俺の勝ちだ。
今まで戦った中でも一番の剣士だった。
その時、ヤクモは口から血を吐きながら笑う。
俺の剣はヤクモの肺を貫いていた。
嫌な予感。
俺は自分の勘の言う通りに避けようとする。
しかし、ヤクモは俺の刀をつかむ。
一瞬回避が遅れる。
俺は身体をねじって俺に向かうものを避けようとする。
間に合わない。
そう、剣先は2つに別れて戻ってきたのだ。
右からの剣は避けられたが、左からのものを予想していなかった。
俺は左腕で剣を受ける。
ヤクモはこと切れる。
そして、俺の左腕は切断され、地面に落ちるのだった。